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ここはSF・オプションパーツ2「ケンタウリ」総集編(一般向け)サイトです。  2008.05.11連載再開に向けてテンプレ修正、エントリをシーン単位に変更。 2008.05.24 連載第6回まで掲載。

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 38/38

(帝都宮殿・謁見の間)

洋子:「恒星間飛行候補者第1組の者、全員無事帰還しました。」

朝子10世:「初飛行の成功、大儀であった。本音を言えば東宮だけは乗せたくなかった罠。
どんな事故があっても不思議ではなかったからね。貴女が候補でなければ監督を任せたかった。」

洋子:「お気持ちは察しますが、あの艦の設計に最初から関与していなければ解らないことは多いです。
私の指揮が妥当と評価していただけたか自信はありません。到底他人の指揮を評価など出来ませんよ。」

朝子10世:「うん、恒星間飛行を目指すが故に根っから技術屋の娘を東宮に据えたのだ。
もちろんアレがこの度のように自らリスクを冒してでも完璧を目指す性格なのも承知だった。
だが、万一のときはこの老いぼれが当分内政を見なければならなくなるのがいかにも厳しいのでね。
貴女の顔を見てほっとしたせいで、余計なことを言ってしまった。聞かなかったことにしておくれ。」

洋子:「もとより他言など。」

朝子10世:「で、実際に標的回避をやってみて本番でどこまで出来ると思う?。」

洋子:「あの標的は破壊不能な大きさがあって最も発見が遅れるサイズの障害物を模しています。
今回はなるべく船体に無理をかけない方針でしたからあえて3段目の標的を回避をしませんでした。
艦の姿勢制御システム自体はまだ余力があったので本番なら回避を優先し実際に回避も可能と考えます。
問題はその際誘発される各部の故障に対処している最中に新たな障害物と遭遇するおそれでしょう。
確率論から言えば太陽系外縁部にそれほど多くの障害物が存在するなら観測にかかっているはずです。
1個の物体が小さくても群れをなしていれば光や電波を遮る現象が起きそうですが観測例はありません。
おそらく訓練標的のように人工的な配置がされなければ4回続けて障害に遭遇することはないでしょう。」

朝子10世:「その考えにはほぼ同意だね。だがオールト雲の状況に関する情報は極めて少ない。
カイパーベルトですらかつて予想された以上に軌道傾斜が大きい矮惑星が多数見つかっているんだ。
太陽や木星の潮汐力が弱いオールト雲の分布は球殻状と考えるべきで南極方向が薄いとは期待できない。
だから例外に出くわした場合を常に想定して行動して欲しいね。」

洋子:「そのために単艦でなく5隻からなる艦隊による計画としたのですよね。
3隻がたどり着ければ植民に必要な物資と人員が足りるよう余力を見込んでいるのですから。
持って行ける物量だけならもっと太い船体に複数の爆風受けを付けた単艦の方が有利でしょう。
高速航行中の移乗が可能かなんて考えずに済む利点もありますし。」

朝子10世:「それは後から考え出したことなんだな。むしろ旋回性能が主な制限要因だよ。
太い船体は重量の割にバーニアを設置できる場所が少ないから旋回が遅くなる罠。
ビームで破壊できない隕石に対する電探の有効距離から求めた回避時間で最低旋回性能を決めたんだ。
それで単艦の重量が制限されたために最低3隻分の積載量が植民に必要だと言うことになった。
どうせ艦隊行動を前提にしなければならないなら歩留まりを考えようという訳さ。」

洋子:「それでも3隻で足りるという保証はどこにもないんですよね。」

朝子10世:「当然、恒星のタイプが同じだから資源状態が太陽系と大差ないという仮定での話だね。
カイパーベルトに類する天体群が少なければ現地での消耗品調達は難しくなる。
それに金星のような高温惑星や砂漠の惑星を可住化して素体生産地に出来る可能性も少なくなるね。
人員を補充できない星系なら無人観測ステーションを設置して帰る以外出来ることはないだろうよ。
そういう限界は5隻全部が無事着いたとしても変えようがない罠。」

洋子:「手頃な天体が無い場合だけはどうにもなりません。手ぶらで帰る覚悟はしていますよ。
そもそもこんな計画に参加しようという娘は大抵根っからの宇宙飛行好きですから心配ありません。
むしろ、目的地が決まって飛行が終わるときの方が心理面では心配なくらいです。」

朝子10世:「そうだな。どっちに転んでも難しい。
そして残念だがこの老いぼれがその結果を知ることは絶対に無い。
全ては若い者に託すしかないんだよ。報告ご苦労だった。
期間が規定の最短だけで済まないが、精一杯休養しておくれ。」

洋子:「今ごろは北に向かっている第2組の成績が気がかりではありますが、忘れるよう努めます。
でわ下がります。」


(こんな練習飛行が一巡すれば、部隊編成となります。
それまでには、かぐやたち下っ端の過重労働もピークに達することになりますので果たして保つのか判りませんが。
次回予定:「方面軍編成」。)

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 37/38

(2日後、”ぐりーんらんど”)

華子4世:「たったいま標的設置に当たる第3組艦長候補から準備完了報告があった。
これより、第2組の練習飛行を開始する。艦長候補亜衣羅、指揮を引き継ぎなさい。」

亜衣羅:「方向転換用意、正副操舵員、着首よいか?。」

朝子13世:「第一、第三獄門台を使用します。第一獄門台接続良好。」

はるか:「第三獄門台接続良好。」

亜衣羅:「よし、北極方向に針路を取れ。周囲安全確認後直ちに核パルス推進を始める。」

朝子13世:「前後バーニア、ジャイロ同期よし、方位真北まで30秒。」

はるか:「上方視界良好、針路障害見あたらず。北極星確認。」

亜衣羅:「総員、耐G体勢。想定加速度4G。」

朝子13世:「前後バーニア逆転、ジャイロ制動、方位真北。」

亜衣羅:「核パルス推進、種原爆1、推進弾92万、推進開始。」

朝子13世:「射出します。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 36/38

(”たけ”艦外艦底部)

かぐや:「給水終了。ホース抜くよぉ。(キュポンッ)」

まさみ:「うっうっ・・・はぁはぁ。閉めます。」

みどり:「給水ホースを倉庫に収納したらすぐ発進するわよ。
後ろがつかえているんでね。急いでおくれ。まさみ、ぼーっとするんじゃない。」

まさみ:「あ、気持ちよくてつい、済みません。ヴァギナルハッチロックよし。」

美佳:「給水ホース収納できました。作業員帰還点呼よし。」

みどり:「”ぐりーんらんど”操舵員へ、舌ゆるめてちょうだいな。」

まさみ:「離されました。バーニア後進かけます。」

みどり:「よし、あと2往復、みんな気を抜かずにやっておくれよ。」

まさみ:「あと4回もヴァギナルハッチの抜き差しかぁ。壊れそう。」

かぐや:「なんなら代わろうかぁ。アレ、気持ちよさそうじゃない。」

みどり:「かぐやは無駄な加速が好きだからこの運行には向かないね。
ここはまさみに任せる。気を確かに持って頑張るんだよ。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 35/38

(”ぐりーんらんど”)

はるか:「第3ヴァギナルハッチ開口、うっ、順調に水入ってきました。メインタンク87%。」

亜衣羅:「あと13回か。この艦へ補給するのに旧式資源収集艦では小さすぎるわねぇ。」

華子4世:「専用給水艦は重いので地球から回航するのも時間がかかりすぎて大変なのよ。
なにしろ建造用資材の鉄資源収集や水銀集めのために目一杯艦を出しているから人が足りなくてね。
こんなに減るほど補助推進器を使う機会は地球離脱時だけなんだから火星で建造するのも勿体ないし。
でも、本番艦5隻にこれを繰り返すのはちょっと馬鹿馬鹿しいわね。
火星大工場であり合わせの資材をつぎはぎして簡易型給水艦を作れないか考えることにするわ。」

亜衣羅:「火星大工場の造船部門は外国人労働者をたくさん使っていますよね?。
決まり切った旧式艦の組み立てや補修は安くできるでしょうが変則的な艦は危険ではないですか?。」

華子4世:「満漢の隕石鉱夫船はじめ怪しげな船の補修をやっているから変則工事は慣れているはずよ。
外国人労働者はエキシマ溶接をアイビームで精密操作できないからどうしても強度が劣るけどね。
高速連絡艦みたいな高加速艦だったら外国人を使うのは危ないけど近距離専用の給水艦なら大丈夫ね。
火星大工場からここまでなら0.2Gも出せればいいから強度は一般補修レベルでなんとかなるわ。」

亜衣羅:「高速連絡艦”つがる”から報告です。地球軌道まであと3日、順調に減速中とのことです。」

華子4世:「早いわね。こっちの補給を我慢した甲斐があったわ。」


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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 34/38

(”たけ”艦橋)

まさみ:「出航操作終了。運動方向、”ぐりーんらんど”係留地点に向きました。
あちらとの速度差は秒速0.2キロです。増速しますか?。」

みどり:「速度はこんなものだね。あまり飛ばすと軌道高度の補正に推進剤食い過ぎるわ。
自艦で消費しすぎると運搬回数が増えてかえって補給が遅れちまうからね。」

かぐや:「さすが気の長さでは誰も敵いませんね。」

みどり:「ふぉっふぉっふぉ。当局はそこまで考えて年寄りをかき集めたのかな。」

美佳:「これでも片道13分ですから言われてみれば急ぐ意味もないですね。」

みどり:「若いうちはみんな理由もなくせっかちになるものさ。私モナー。
私には先に素体採用された姉が居たのさ。それで、とにかく対抗したくてね。
サイボーグになりたての頃はいつも追いつけ追い越せばかり考えていた罠。」

まさみ:「艦尾を進行方向に向けて減速に入ります。ジャイロ起動。」

みどり:「他に作業船が接近している可能性が高い、みんなで後方監視を手伝って。」

かぐや:「あ、たったいま1隻離れたところです。ちゃんと通行帯を守っていますね。
これならこのまま進んでもぶつかる心配はないですよ。」

まさみ:「速度差秒速8mに落ちました。艦首戻します。引き続きバーニア後進。」

かぐや:「”ぐりーんらんど”から発光信号、このまま口腔エアロックに艦首を突っ込めと。」

美佳:「距離50m、速度差秒速3m。」

みどり:「落とし杉かも、少しバーニア絞って、うん、そんなものだな。
あとはあっちの操舵員が舌で捕まえてくれるわよ。一応ドッキングの衝撃に注意。」

かぐや:「ナイスキャッチでした。」

みどり:「さあ、総出で船外作業だ。まさみは残ってヴァギナルハッチの操作ね。
かぐやは機関員2名をつれて本艦ヴァギナルハッチ側でホースの接続。
美佳は倉庫番と一緒にあっちの艦の補給口にホースを持って行くんだ。
ヘッドフィギュアのもやいは私がやる。全員、生命維持切り替えミスに注意よ。」

美佳:「たしか、あちらの艦には補給口がたくさんあるはずです。えーと・・・。
口腔内2カ所と4基の補助エンジンにそれぞれヴァギナルハッチがありますね。」

みどり:「ふむ。いま確かめるよ、・・・、今回は第3補助エンジンに行っておくれ。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 33/38

(”つがる”)

洋子:「艦首公転軌道に対し面内170度へ」

亜美:「ジャイロ旋回中、あと25秒。」

洋子:「ワイヤレスリモートの違和感大丈夫?」

亜美:「まあなんとか。でも、首直結に比べると明らかに固定遅延を感じちゃいますね。
所詮、勤務中の操舵員にとってボディは出来の悪い中継器なんだと思い知らされますよ。」

みらい:「方位合いました。」

洋子:「よし、全開推進はじめ。総員加速圧注意、たかが蒸気推進と油断しないでね。」

亜美:「原子炉出力120%、グリッド昇圧、過熱冷却水導水路開放、補助推進器噴射。」

みらい:「電流異常なし、現在加速度2G。でも4Gに慣れてしまうとやっぱり遅いですね。」

洋子:「まあね。しかも2G出せるのは1時間が限度だし。でも回航作業はもっと遅いわ。
何しろ補助推進器では僅か0.04Gの加速力しか得られないのよ。
代用気化爆弾まで使うなとは言われていないけど、あれもたいしたパワーはないし。
せいぜい今のうちに遅くても油断せず我慢することに慣れておく事ね。
おそらく恒星間に出てしまえば4Gだってとても遅く感じるのだろうし。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 32/38

(火星大工場・宙軍岸壁 資源収集艦”たけ”口腔エアロック)

かぐや:「あ〜あ、今月は緊急招集が多くて商売あがったりだわ。」

特務中佐・みどり:「おお、かぐやじゃないか。久しぶりだね。店はうまく行っているかい?。」

かぐや:「あ、お祖母ちゃん!。いつこっちへ来たの?。もう来れないかと思っていたのに。」

みどり:「はは、人事局に呼ばれたときはてっきりIQ割れで廃兵院収容のお達しかと思ったわ。
ところがなんと、人手不足だからいまさら火星に行って任務に就けと言われたのには驚いたね。
なんでも脳にES細胞を注入して多少修復する実験が成功したとかでいきなり頭開けられてね。
それが移動中に少し効いてきたのか、確かになんぼか判断力は速くなった気もするがなぁ。
だけど、着いてみたらいきなり艦長をやれと言うのには参ったわ。
まあそりゃあ、近場で水をピストン輸送するだけの簡単な任務だから誰でも出来そうだがねぇ。」

かぐや:「えっ、お祖母ちゃんが”たけ”の艦長だったのぉ。なんか不安。
だいたいシビリアンの特務中佐を艦長にするなんてアリなんだっけぇ。」

みどり:「私だけじゃなくて昔の長期任務時代に副長で留守番指揮の経験者がかき集められてるのよ。
若手貴族の正規士官がみんな核パルス艦に行ってしまうから、こんな艦の艦長までは賄えないのね。」

かぐや:「帝國一国の力で恒星間を渡るなんてやっぱり無理なんじゃないのかなぁ。」

みどり:「そりゃあ人類の総力上げたって厳しいのに我々だけではきつい罠。
私のような老兵まで支援作業に総動員するって事はもう一杯々々って事なんだろうし。
でも、ヘリウム3の奪い合いに血道上げてる北米連や満漢が手伝ってくれるわけも無かろうが。
そんな事するほどの資源があるなら国民生活に回せっていう話にしかならんだろうよ。
まだ満漢なら達磨っ娘政策とかやってるくらいだから国民に犠牲を強いる事だけは出来るかもね。
実際我が国は満漢隕石鉱夫の持ってきた掘り滓から水銀やヘリウム3を搾り取っているし。
でもサイボーグすら認めないガチガチの宗教勢力が大きな力持ってる北米連は絶対無理だね。
あいつらを説得していたら何百年かかるやら。資源紛争で世界滅亡になる方が早いでしょ。」

かぐや:「地上が全滅しても、ここの店だけは守りたいわ。」

みどり:「でも素体が採れなければ自分の代で水商売も終わっちまうね。」

かぐや:「あ、そうだった。仕方ない、水商売の未来を守るため水運びに精を出しますか。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 31/38

(”ぐりーんらんど”艦橋)

亜衣羅:「東宮様、お久しぶりです。」

華子4世:「早速だけど引き継ぎを急いでちょうだい。
たったいま皇族専用回線を使って造機本部長から報告が入りました。
”ぱぷあ”のブロック出しが出来たので艤装員配置を急いで欲しいとのことです。
とりあえず第4組が機器検査と物資搭載に当たっていますが、火星への回航に経験者が必要です。
それで、急なんだけど第1組のメンバーはこのまま”つがる”で地球に向かいなさい。
地上整備休息を規定最低限の15日で済ませてすぐ回航任務について貰うことになります。
本番艦の爆風受けを消耗させるわけにいかないので回航時の核パルス使用はできません。
そのために回航の期間をなるべく長くとる必要があるのです。」

洋子:「忙しいのは構いませんが、”つがる”から移す予定だった推進剤はどうしますか?。」

華子4世:「当然降ろせないので、その分は火星大工場在泊の旧式艦を動員して穴埋めします。」

洋子:「承知しました。引き継ぎ完了後直ちに地球へ向かいます。」

亜衣羅:「でわ、早速故障箇所の確認を。」

洋子:「操縦系や機関に問題箇所はありません。生活施設の水産系は一部配管強度に問題があります。
第1組の飛行では4Gを超える加速度を与えていませんが、それでも漏水は許容一杯です。
融合弾発射間隔を切り詰めるオーバードライブは回避した方がよいでしょう。」

亜衣羅:「水産に問題かぁ。飛行中の食糧事情に響きそうですね。」

華子4世:「おそらく”ぱぷあ”のコンテナは艤装のやり直しになるでしょうね。
その工事を火星大工場で引き受ける都合もあって、尚更回航を急ぎたいのです。
とりあえず、練習飛行では極力優しく扱ってちょうだい。」

亜衣羅:「引き継ぎ事項は承知しました。細かいデータはサーバーから採りますので結構です。」

洋子:「それでは私どもは取り急ぎ”つがる”に移乗してすぐ出発しましょう。でわでわ。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 30/38

(”ぐりーんらんど”ヘッドフィギュア内)

朝子13世:「全員真空内行動準備。次席操舵員は私と一緒に準備室に上がれ。
機関員は融合弾と種原爆の搬入だ。他の者は艦橋に集合後、艦長から配置指示を受けること。」

亜衣羅:「みんな、こっちよ。」

朝子13世:「亜美大尉、準備室昇降口の制御リンク渡してちょうだい。」

亜美:「リンク解放、はいどうぞ。気圧差に気を付けてくださいよ。」

朝子13世:「内圧確認、減圧・・・よし開けるわよ。ごめんあそばせ。うう、思った通り狭いわね。」

亜美:「そこはまだ良い方です。獄門台の定位置はまさに首3つ分の隙間しかないですからね。」

朝子13世:「シニオンがつっかえるかな?。」

亜美:「そこまで酷くはないです。」

朝子13世:「よかった。私は1番台を使いたいから次席が先に入って。」

第2組次席操舵員・はるか:「えと、ボディ固定台の立ち位置はここで良いはずね。
よし、首リンクリモートに切り替え、循環遮断、で首外し完了。でここに入れて・・・
3番獄門台循環システム稼働チェック・・・OK、循環開始。
じゃあ、殿下お先に。リニア前進・・・定位置に着きました。直リンク引き継ぎます。」

亜美:「3番獄門台直リンク稼働確認よし、1番獄門台リンク解放、リニア後進・・・」

朝子13世:「さっきは見事な回避運動だったわね。でも負けないわよ。」

亜美:「循環遮断、リモートボディリンク起動、首引き抜き・・・ボディ接続よし。
はい、1番獄門台明け渡します。一緒に行けると良いですね。」

朝子13世:「そうなんだけど、誰かがバックアップ隊に回る非情な現実もあるからね。
でわでわ。ボディ立ち位置よし、首リモート、循環遮断・・・」

亜美:「グッドラック、殿下。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 29/38

(”ぐり−んらんど”係留地点)

みらい:「火星対地速度、自転に同期しました。」

洋子:「艦首を火星大工場の方向に向けて。」

亜美:「ジャイロ、バーニア同期旋回・・・止めます。」

みらい:「高速連絡艦”つがる”接近、距離150キロ、急減速中。」

洋子:「ヘッドフィギュア口腔エアロック開放。」

亜美:「あんぐり、舌出しときます。べろ〜。」

洋子:「”つがる”が進入したら舌で掴んで。」

亜美:「寄ってきました。もうちょい、んべっ、うん掴んだ。」

洋子:「操舵員は向こうの操舵員が準備室に入るまでそのまま待機。
艦橋監視要員以外は補給物資の積み込みを手伝え。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 28/38

(火星大工場・宙軍岸壁 高速連絡艦”つがる”口腔エアロック)

かぐや:「あ〜あ、今月は臨時の任務が多いなぁ。しかもこれって港湾労働者の仕事じゃん。
こんなに手の皮膚汚しちゃったら水商売に差し支えるわ。」

美佳:「あのねえ、種原爆の積み込みだよ。外国人労働者なんか使えるわけ無いでしょうが。」

まさみ:「放射能汚染作業だから手の皮膚なら公費張り替えが効くんじゃないかな?。」

かぐや:「そうか、そりゃ良いこと聞いたわ。申請してやろう。」

美佳:「あ、亜衣羅候たちだわ。この高速連絡艦”つがる”で会合地点に行くのね。」

まさみ:「巨大な恒星間航行艦とのドッキングって初めてよね。どうするのかしら?」

かぐや:「あっちのヘッドフィギュアはバカでかいから連絡艦の頭をくわえ込むんでしょ。
なんだかまるで巨人のフェラチオだね。」

美佳:「ぷっ。ホントにかぐやの発想は何でも水商売ベースなのね。」

かぐや:「代々の家業だもん。」

まさみ:「代々シビリアンのまま宙軍兵やっているなんてある意味恵まれてるわね。」

かぐや:「頑張りすぎないのがうちの伝統なのよ。」

美佳:「あれっ?。かぐやの曾祖母さんて核パルス艦操舵員1号じゃなかったっけ?。」

かぐや:「あの時代、家庭と軍務が両立する短期任務専従ポストなんて他に無かったのよ。
おまけにひいお祖母ちゃんは脊髄障害持ちで人工小脳化の優先順位が高かったしね。」

まさみ:「なるほど。今と違ってイオン推進艦で冥王星まで飛んでいたのよね。」

かぐや:「さて、この箱でお終いね。倉庫扉閉鎖よし、艦橋誰か居ますか?。」

朝子13世:「こちら”つがる”操舵員、荷役終了確認した。1分後に口腔エアロックを閉じる。」

かぐや:「さあ帰ろう、あ、手の皮換えて貰わなくちゃな。」

美佳:「いま応答した操舵員の素体番号ってたしか皇族の番号帯だったよね?。」

まさみ:「そりゃそうよ。第2組の候補者が”つがる”を動かしていって第1組と入れ替わるでしょ。
たしか、皇孫の朝子13世殿下が第2組の主任操舵員だったわ。
あの方は将来の植民地で皇帝の名代にあたる地位に就くために送り込まれたって噂だわ。」

かぐや:「ふ〜ん、お上もそこまで考えているってことは地球がマジ危ないのかな。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 27/38

(”ぐりーんらんど”)

みらい:「対火星相対速度秒速4キロ。」

洋子:「融合弾射出停止、イオン推進用意。」

亜美:「融合弾止めました。補助推進器ナセル展張します。」

みらい:「後方視界かなり開けています。」

まりな:「ディモスと火星大工場を視認しました。」

みらい:「この位置だと係留地点に合わせるには2分後から秒速1キロの減速が必要です。」

洋子:「補助推進器だけだときついかな。種原爆を2発使おうか。」

亜美:「了解。補助推進器ナセル収納、種原爆装填弾数2、1分後に射出します。」

洋子:「総員衝撃注意。」

亜美:「種原爆連続発射、爆発よし。」

みらい:「減速十分と思います。」

亜美:「補助推進器ナセル展張します。」

洋子:「直ちに補助推進器全開。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 26/38

(火星大工場・ベイサイドホテルロビー)

皇孫・第二組先任士官・朝子13世:「艦長、全員そろいました。」

亜衣羅:「よろしく、殿下。」

朝子13世:「殿下はやめてください。」

亜衣羅:「いいえ、首尾良く植民できたときの副皇帝候補として自覚を持ってもらわないと。
絶対に合格しなくてはならないからこそ、もちろん任務は厳しくこなして貰いますよ。」

朝子13世:「もちろんこの顔に賭けて恒星間航行艦のヘッドフィギュアは私のものにします。
でも、おそらく洋子叔母上も合格するでしょうから副皇帝に推されるとは思いませんが。」

亜衣羅:「今回の候補者では貴女が性格、能力、年齢全ての点で現地副皇帝の第一候補なのです。
洋子殿下ももちろん有力ですが、遺伝子型が傍流だし、さすがに50年後では高齢過ぎます。
帝国における新素体生産地の地位を高めるために、統治者には最も強力な皇統が望まれます。
皇統の濃い貴女が自ら操舵員として星間を渡りきれば誰もが貴女を推すことになるでしょう。」

朝子13世:「経験の浅い私にはよく判りません。とりあえず目の前のことに集中するだけです。
さ、参りましょう、連絡艦搭乗時間です。全員整列、艦長に続け。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 25/38

(減速の続く”ぐりーんらんど”)

みらい:「火星軌道面まで10万キロ、面内位置火星後方9万キロの直上。」

洋子:「少し前方に針路を寄せようかしらね。交差位置、後方3万キロに合わせられる?。」

亜美:「行けます。減速継続のまま微速でジャイロ回します。」

洋子:「総員、加速度の微変動に注意。」

亜美:「軸線、垂直より前方5度に変更しました。」

みらい:「推力異常なし。艦内各部異常応力無し。減速継続時の運動予測計算中。
交差位置、火星後方3万に合いました。交差時の運動、極方向0、対火星速度差、追尾で秒速10キロ。」

洋子:「上手いわよ。あとはそのまま面内で調整すれば一発で静止軌道に入れるわね。」

みらい:「地球圏と違って停止寸前まで核パルスが使えるのはやっぱり楽ですね。」

華子4世:「火星付近は管制を無視する外国船が居るかも知れないから気を付けて。」

洋子:「後ろ向きだから操舵員だけでは危ないわね。艦橋オペレーターは後方カメラに視覚接続。」

みらい:「既に接続しています。推進中ですから後方視界の中心部は視認不能。」

洋子:「あと二人加えて周囲を120度ずつの分割監視にします。ゆかり、まりな、出来るか?」

ゆかり:「手は空いていますが、現配置が弾庫準備室です。加速停止後に移動しますか?。」

洋子:「再装填も一応考えた方が良いから配置はそのまま、脳だけ貸して。」

ゆかり、まりな:「了解。視覚接続します。」

洋子:「3人とも中距離電探データを視覚にオーバレイさせて。」

みらい:「電探はいくらか内側まで見えてますがやはりノイズが大きいですね。」

華子4世:「恒星間航行中なら真後ろの小障害物は核の爆風で排除できるから問題ではないわ。
ところが今日みたいな太陽系での入港だとその排除した物体が満漢の隕石鉱夫船かも知れないわけだ。
まあ、これだけ派手に光っているところへわざわざ突っ込む馬鹿は居ないでしょう。
外国船ならぶつからなくても接近しただけで放射線浴びて乗員全滅だからね。
ただ、収益重視一辺倒の隕石鉱夫には管制の話をろくに聞いていない奴がいるかも。
だから一応精一杯後ろを監視するのよ。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 24/38

(火星大工場ベイ、バー”矮惑星の天然氷”)

テレビの声:「宙軍カイパーベルト輸送本部発表、試作恒星間航行艦は本日火星公転軌道において障害物回避試験に成功せり。
6時間後、火星静止軌道に停泊、補給と乗員交替作業を行う。付近を航行する船は補給船針路への進入を禁ずる。」

停停:「あ〜ら、無事こっちに向かっているわね。私の竹籠は役立たずだったのかしら。」

かぐや:「1個衝突するところを見たから無駄じゃなかったようよ。」

停停:「へぇ、ぶつかったの。ぶつかっても大丈夫なものなんだ。」

かぐや:「竹籠だからよ。岩石や氷だったらただじゃ済まないわね。」

停停:「それじゃビーム砲でも使って蒸発させるしかないわね。間に合うかどうか知らないが。」

かぐや:「氷なら蒸発しやすいから直前で発見しても間に合うし、少々岩石混じりでも蒸気圧で弾けるわ。
彗星やカイパーベルトの状況からオールトの雲に純粋の岩石は滅多にないという予想が頼りね。」

停停:「そういえばこの店で使う氷もカイパーベルト産の天然物だっけ。」

かぐや:「メタン混じりは駄目だから成分調べて選別するけど砂が入っていて文句言われたことって無いわね。」

停停:「でも実績があるのは冥王星軌道付近だけよね。様子のわからない空域に飛び込む娘の気が知れないわ。」

かぐや:「あんたら満漢隕石鉱夫だって結構無鉄砲な仕事してるでしょ。」
 
停停:「鉱区に入ったら何が何でも一日1トンは鉱石掘らないといけないノルマがあるから必死よ。
達成できないと一画ずつ額に刺青されて、”無能”という字が完成したら焼き印をされるのよ。
額に無能の焼き印が完成したら次は、こんな風に辮髪にされて頭に彫られることになるわ。」

かぐや:「ガクガクブルブル(((;;´Д`)))。さすが満漢当局、冷酷さはピカイチね。
焼き印は消しようがないし、刺青でも頭のはレーザーで消したら禿になるじゃないの。
それをかいくぐって水銀横流しをやってるあんたの勇気には敬服するわ。」

停停:「ふっ、最初は水銀に気をとられてしくじったけど10画彫られた頃には要領覚えたわ。
当局が測定器代をケチっていやがるから要するに質より量でこなせばなんとかなるんだな。
あと500回の入坑でノルマが達成できれば自由鉱夫になれるから焼き印は最後まで免れる予定よ。
あるいは金で農村戸籍を買えばその前に自由の身になれる制度もあるわ。
自由鉱夫になって刺青を消し帝國の民間企業か西欧連の調査船に転職するのがささやかな夢ね。」

かぐや:「過去に無能焼き印されず自由鉱夫になれた達磨娘ってどれくらい居るの?。」

停停:「さすがに22画彫られるようなドジっ娘は半分以下よ。焼き印される前に事故死が多いわね。
一画も彫られずに自由鉱夫になった娘は1000人に一人くらいかな。
そこまで出来るようなら隕石鉱夫が天職って事ね。外国船からも引く手あまたよ。」

かぐや:「無、で済ませたかったらあと2画か、厳しいわね。」

停停:「一字で済めば消しやすいが無理して事故死もしたくないし、焼き印さえ免れればいいわ。
頭まで焼き印されるのは1割くらいだね。無理して大怪我、長期不稼働になるとえらいことよ。
もしも怪我で入坑できなければ、即座に一画彫られる事になっているからね。
たった一回の事故で頭頂と両側頭に焼き印される羽目になった不運な娘もいたしなぁ。」

かぐや:「酷すぎる。よくそんな理不尽な待遇で脱走しないわね。」

停停:「逃げたってこのベイサイド歓楽街か隣接の軽工業地区以外に行くところがないわ。
いずれも外国人が自由に出入りできるところだから満漢の監督官も追ってこれるでしょ。
今までに逃げた娘はみんなすぐに捕まって焼き印が増えただけだった。
民間船はトラブルを嫌うから満漢当局がパスポート出した娘しか雇ってくれないわ。
唯一満漢に遠慮しない帝國宙軍艦は全身サイボーグしか乗れないから外国人雇わないし。」

かぐや:「あんたら満漢鉱夫の話を聞くと私ら帝國一般兵って気楽なんだなぁと思うわ。」

停停:「でも最初になるときは素体適性とか改造手術とか大変なんでしょ。」

かぐや:「素体適性は先天的要素が大きいから努力してどうにかなる要素は少ないのよ。
素体訓練や改造手術はそこそこ大変だけど、それで氏んだ人なんて聞いたことないわ。
昔、イオン推進艦で外惑星任務までこなしていた時代の名残で休みは多いし、儲かる副業も多い。
政治的なことに首を突っ込む幹部士官や大加速に耐える核パルス艦乗員はマジできついけどね。」

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「ケンタウリ」総集編 本文 |

オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 23/38

(反転を終え火星に向かう”ぐりーんらんど”)

みらい:「現在速度0.06光速。針路真北です。」

洋子:「再度反転。火星軌道面に停止するため段階的に減速を行う。」

亜美:「前後バーニア、ジャイロ連動、180度回頭。」

洋子:「核パルス推進用意、弾数、種原爆1、融合弾40万、間隔0.1秒。」

みらい:「火星相対位置確認、真北より内側に0.01度、公転方向に0.03度。」

洋子:「方位修正、内向き0.005度。公転方向への加速は最終アプローチに行う。
方位修正後ただちに核パルス推進開始。」

亜美:「方位修正よし。種原爆射出、融合弾連続射出。」

洋子:「射出終了後直ちに針路微調整を行う。運動状態の監視を続行せよ。」

みらい:「方位変動、現在内向き0.002度、公転方向0.001度。」

洋子:「最低速にてジャイロ合わせよ。火星後方20万kmを指向。」

みらい:「操舵員に火星位置情報連続転送中。」

亜美:「方位、これでぴったりだと思います。」

みらい:「現在速度0.021光速。」

亜美:「このまま減速すると火星後方20万Kmに静止することになります。」

洋子:「8万Kmほど寄せようか。みらい、方位出して。」

みらい:「出ました。0.011度東です。」

亜美:「視覚データ来たわ。ジャイロ低速旋回、ここね。減速良いですか?。」

洋子:「よし。核パルス推進再開、弾数、種原爆1、融合弾40万、間隔0.1秒。」

亜美:「初弾射出。連続誘爆確認。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 22/38

(”まつ”)

美佳:「小さな閃光が見えましたよ。当たったようです。」

亜衣羅:「まあね。でもあれは想定する隕石に対してたぶん正しい回避の仕方だったわ。
天然の隕石なら自らの重力で集まってしまうから、あんな意地悪い配置はあり得ないのよ。
あくまでも障害物を早期発見し慌てずに対処できるかが訓練課題なのよ。
我々の標的配置は撃破できない大きさの隕石に似た反射波を生じたでしょう。
まず最初の影に対して正しいコースを採り奥の罠で無理な機動をしなかったあの飛び方は正解なの。
予想していたことだけど、あらためて一組目の有能さを思い知らされたわね。」

まさみ:「再び連続核爆発です。反転減速を開始した模様です。」

亜衣羅:「やはり操舵員や機関に影響のある衝突や故障は無かったようね。」

美佳:「火星大工場から通信。入港許可が出ました。」

亜衣羅:「さて、練習艦が戻るまでベイホテルで寝ておくかな。じゃ、みんなご苦労さん。」

まさみ:「ご成功を。」

亜衣羅:「ありがと。」

かぐや:「合格したらおごる約束、一応よろしく。」

亜衣羅:「あら、起きていたの?。じゃ、なるべく忘れないようにするわ。」

かぐや:「いくら夜の商売やっていたって、任務中は居眠りしませんよ。
有脊髄型サイボーグだって覚醒パルス機能は憑いていますからね。」


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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 21/38

(突入する”ぐりーんらんど”)

亜美:「融合弾射出終了。」

みらい:「火星見えました。青方偏移による推定速度0.02光速。」

洋子:「針路確認。緊急修正に備え耐G体制維持。」

みらい:「訓練空域進入10分前。針路、空域中心点に一致しています。」

洋子:「以後の針路修正は操舵員に一任する。」

亜美:「了解。」

みらい:「微弱反射波検出、予定通り標的が仕掛けられています。」

亜美:「見えたわ。抜け道はここね。右サイドバーニア全機全開2秒。」

洋子:「奥行き方向の仕掛けは?。」

亜美:「読めています。あっ、3段構えか、下バーニア緊急噴射・・・」

みらい:「小さな衝撃が検出されています。衝突箇所検索中。」

亜美:「抜けたようね。悔しいが1発食らったか。」

洋子:「気にせず反転減速にかかりなさい。」

亜美:「まず姿勢戻します。上バーニア、ジャイロ同期・・・進行方向です。」

洋子:「よし、直ちに反転。」

亜美:「前後バーニア、ジャイロ協調最速旋回。180度回頭。」

洋子:「減速核パルス推進用意。種原爆射出弾数1、融合弾射出弾数180万。間隔0.1秒。」

亜美:「反転完了。推進良いですか?。」

洋子:「推進はじめ。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 20/38

(火星大工場入港前の”まつ”)

美佳:「天の北極方向に連続核爆発探知。急速接近中。」

亜衣羅:「来たわね。」

まさみ:「閃光のスペクトル偏移出ました。光源の接近速度は光速の1%を超えています。」

亜衣羅:「容赦なく加速してきたわ。」

美佳:「罠にはまると良いですね。」

亜衣羅:「まあね。但し、大事故になっても困るけどね。」

まさみ:「大事故で計画が頓挫しては元も子もないですよね。」

亜衣羅:「そゆこと。まあ竹籠だから当たっても穴は開かないはずだけど。」

美佳:「竹籠を編んだのは外国人労働者でしたよね。」

まさみ:「満漢達磨娘なら、ほどよく手抜きしそうね。」

亜衣羅:「あいつらが上等な腕なんか買えるわけがないから、間違っても丈夫すぎる物は作らないわ。」

美佳:「最大望遠で高速カメラ回しておきます。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 19/38

(”ぐりーんらんど”艦橋)

洋子:「戻りました。全員の食事完了も確認しました。指揮に復帰します。」

華子4世:「いよいよ障害物回避訓練ね。腕前しかと見せてもらうわ。」

洋子:「3分後に反転加速を開始する。総員耐加速体勢。想定4G、60時間。旋回はじめ。」

亜美:「進路障害最終確認、前後バーニア、ジャイロ、協調最速旋回。」

みらい:「船体ひずみ異常なし。中心軸対進路角度差、20度、30度・・・」

亜美:「前後バーニア停止、噴射逆転。」

華子4世:「いいわ。進路に横腹見せる時間は最小になっているわね。」

洋子:「177度到達と同時に核パルス点火、種原爆射出弾数1、融合弾射出弾数210万。間隔0.1秒。」

亜美:「了解。177度で旋回速度ゼロ、あと5秒、種原爆用意、3,2,1、射出。続けて融合弾連続射出。」

みらい:「種原爆点火確認。誘爆続いています。現在加速度4G。」


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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 18/38

(”まつ”艦橋)

まさみ:「訓練空域を離脱しました。安全圏です。」

亜依羅:「加速ついちゃったから火星大工場までの減速が目一杯よ。
油断しないでちょうだい。」

まさみ:「は〜い。あっちはそろそろUターンする頃かな。」

亜衣羅:「そうよ。そしてそのまま目一杯核パルスを焚いて突っ込んでくるわ。
光速の僅か2%と言っても、あっという間にここへ到達するわね。
なにしろ未体験の、惑星軌道上では安全かどうかも意見が分かれる速度だわ。」

美佳:「東宮様が座乗するくらいだからそれほど危険ではないのでしょう?。」

亜衣羅:「計算上はそうだけど、絶対ではないわ。陛下はしぶしぶ許可したのよ。」

美佳:「亜衣羅候も次はあれに乗るんでしょ。怖くないですか。」

亜衣羅:「怖くないと言えば嘘になるわね。でも、出来ない娘は一生太陽系に束縛されるわ。」

まさみ:「そんなぁ。束縛だなんて、太陽系内だって十分広くて自由もありますよ。」

亜衣羅:「まあ、今のところね。貴女たちが生きている間、北米連や満漢がぶち切れないと良いわね。」

美佳:「陛下や東宮様がきっとうまく抑えてくれますよ。」

亜衣羅:「帝國の首脳もちょっとだけ恵まれた遺伝子を有する素体を使ったサイボーグに過ぎないのよ。
錬金術師じゃないんだからからね。無からヘリウム3を生じて彼らに分け与えることはできないわ。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 17/38

(”ぐりーんらんど”艦橋)

華子4世:「戻りました。私が指揮を代わるから洋子は食事を済ませてきなさい。
ごゆっくりとは言えないが、素早く楽しんできてね。出来は相当なものよ。」

洋子:「済みません。私のために急いでいただいて。」

華子4世:「コンロの評価用に焼いた試食品をつまみ食いしたから早かっただけよ。
気にせずその分だけでもゆっくり休んできなさい。
そもそも艦長候補者を厳しく競わせるため一緒に乗せない方針も私の責任だし。」

洋子:「そういえば。でわ、遠慮無く。」

みらい:「戻りました。艦内であそこまでやれるとはたいしたものですね。」

華子4世:「本番の長旅を考えたら必要なのよ。出来ればもう少しゆとりを持ちたいわ。
みらいはすぐに進路監視に就いてちょうだい。操舵員たちに出前が届く頃だわ。
交代で準備室に下がっている分、見張り能力が低下するからしっかり頼むわよ。」

みらい:「はい。お任せ下さい。進路情報、視覚につなぎました。」

華子4世:「こちら艦長代行中の華子4世、操舵員は交代で食事にかかれ。
前方監視は艦橋オペレーターがバックアップに入っている。」

亜美:「了解。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 16/38

(”ぐりーんらんど”第1食堂)

華子4世:「総料理長、調子はどお?」

不知火:「調理の研究を重ねてきましたので工場衛星でのリハーサルと差はないはずです。
肉類が一切使えず、乳製品も粉末で100トンだけが頼りというのは確かに難しいです。
品種改良で昔に比べれば豆乳は使いやすくなってきましたが、味覚干渉システムがなければバレバレです。
それに水産品も耐加速性のため水槽が大きくできないから品種、量とも窮屈ですね。
食文化継承といえるまでにはまだまだです。マグロや牛を遺伝子組み換えで矮生化出来たらなぁ。
香辛料は艦内栽培を予定していますから今日のメニューなら百年でも作れるとは思いますがね。」

華子4世:「牛はプリオンが怖いからだめだけどマグロは実験しているから間に合う可能性もあるわね。
ところで、設備の故障は無かった?。特に水産は壊れたら補充が難しいから些細なことも報告して。」

不知火:「まず、タンク類の漏水は想定範囲であり故障ないし事故に当たる事象はありません。
ただ、タンク内各所に設置された圧力計の履歴について一部で計画より高圧になった箇所があります。
限界に収まってはいますがマージンが最悪の箇所で20%弱です。本番艦では補強が必要と思います。」

華子4世:「承知しました。正直、その分の重量をどこで浮かすか悩ましいけどやるしか無いわね。」

不知火:「願わくば保存食材や農水産資材の積載カットは避けたいところです。」

華子4世:「最大限の配慮はしますが、約束は出来ません。で、調理器具の調子は大丈夫かな?。」

不知火:「今日は事前の準備が行き届いていますから全く加速による問題は出ませんでした。
ただ、厨房使用中に衝突回避の緊急加速となった場合、どこまで対処できるかわかりません。
使用感としては、電気調理器でもガスや炭火と比べ遜色ない出来だと思います。
評価のため、ローストカレーをやってみたのでご試食なさいませんか?。」

華子4世:「それは良いテストね。でわ、早速・・・うんうんさすが総料理長ね。GJ。
電気コンロの開発に相当つぎ込んだ甲斐があったというものだわ。
なにしろね、シリコニット積層セラミック発熱体だけで何種類試作したことか。
実際に最高級の炭を仕入れ、特区の料理人に炊かせて赤外線スペクトルを測って合わせ込んだのよ。
波長が合ったと思ったら膨張率がいまいちで割れちゃって振動テストに通らなかったり苦労したわ。」

不知火:「コンロの開発に東宮様が直接関与されたとは知りませんでした。」

華子4世:「実験に立ち会う時間は殆ど取れなかったけど精一杯フォローはしたわ。
なにしろ食の問題は計画の成否を分けかねない重要な要素だからね。
帝國が目指すのは素体生産地の獲得であって、ただ植民できれば良いというものではないのよ。
相当な生活水準が実現された民度の高い植民地でなければ素体の育成は難しいからね。
生活水準、教育レベルとも地球では突出している本国ですらシビリアンの供出率はあの程度でしょ。
生きるのがやっとの野蛮な植民地なんか拓いても、素体は全く採れないわ。
そして素体が採れなければ周辺空域の宇宙資源を集めるサイボーグが確保できないでしょ。」

不知火:「もっともです。私も心して艦内生活習慣の保持に当たります。」

華子4世:「ご馳走様。頼りにしているからね。」


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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 15/38

(最初の加速を終えた”ぐりーんらんど”)

亜未:「融合弾初回射出終了しました。慣性航行に入ります。」

みらい:「天測位置変化率、北極星赤方偏移とも現在速度0.013光速を示しました。」

華子4世:「計画通りの加速が出来たわね。」

洋子:「慣性航行2時間ののち反転加速にかかる。主計班は給食準備にかかれ。
各部署、30分後より30分交代で食事を完了せよ。遅れるな。以上。」

華子4世:「厨房の様子を見てきます。」

洋子:「航行中の給食は前例がありませんので正直言って自信がありません。」

華子4世:「私もよ。設備の耐加速性には十分気を付けさせたつもりだけど、実績がね。
包丁が飛び散ったりしていないか、現場で確認しないと落ち着けなくてね。」

みらい:「今日は野菜カレーでしたね。いきなり難しそうなもので大丈夫かな。」

洋子:「私は在アリババ大使館勤務時によく作ったけど、意外と簡単よ。
加速の合間に急いで作るには手頃だわ。むしろ巡航中に飽きない方法が難問ね。」

みらい:「そういえばアリババは肉の調達に制約が多い地域でしたっけ。
1年と40年じゃ違うけど、少しでもそう言う経験があると過ごしやすいかも。」

洋子:「消化装置の機能制限について聞いたときはライバルが減るかと期待したわ。
でも思ったほど減ってくれなかったわね。」

主計長・不知火:「給食準備が整いました。先の組は第1食堂にお越し下さい。」

洋子:「みらい、先に行って来なさい。私は東宮様が戻ってからにします。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 14/38

(”まつ”格納庫)

かぐや:「1号重機帰還しました。標的配置完了です。」

亜依羅:「ご苦労さん。練習艦突入までに完全退避するには時間が少ない。
至急重機を係留せよ。係留完了後直ちに発進、火星大工場に入港する。」

かぐや:「ふう。あんまり配置に凝るから余裕のないこと。
重機が故障でもしたら危ないところだったわ。はい、係留良し。」

亜依羅:「係留確認した。発進、直ちに最大加速。」

かぐや:「うわ、もう動き出しちゃった。」

亜依羅:「大した時間じゃないから、かぐやは重機で待機しなさい。」

かぐや:「良いですけど、せめて動かす前に言って欲しかったわ。」

亜依羅:「ごめんね、恒星間要員に残れたら盛大に奢るわよ。」

かぐや:「そうなったら、超忙しくなるんですよね。一応小さく期待しときます。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 13/38

(”ぐりーんらんど”艦橋)

華子4世:「巡視終わったわ。洋子、良いチームを作ったわね。」

洋子:「素体訓練以来の経歴を考慮して配置を考えました。」

みらい:「弾庫退避良し。機関長から最終確認サイン出ました。」

洋子:「核パルス推進始動用意。総員身体固定。想定加速度4G。連続30時間。」

みらい:「各部署、身体固定完了サイン出ました。」

洋子:「種原爆射出弾数1、融合弾射出弾数108万。間隔0.1秒。射出始め。」

亜未:「補助推進器収納良し。水銀圧上昇、リニアカタパルト電圧異常なし。
射出開始...種原爆点火、おお、お加速来てる。連続誘爆成功です。」

洋子:「誘爆状態の監視はこっちで引き継ぎます。正副操舵員は前方注視。」

亜未:「了解。超遠距離電探、光学とも視界に影無し。針路維持。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 12/38

(”ぐりーんらんど”後部船体第8融合弾庫)

ゆかり:「しんどいなぁ。恒星間航行ってマターリ長旅ってイメージ描いていたのにぃ。
何万発もの弾込めをいちいちチェックしながらなんて気が遠くなる作業が続くのね。
だいたい、私ら文化伝承要員で選ばれたのにこんな重労働までするとはねぇ。
なんだか、大昔の石炭で動く船に乗っていた水夫みたいだわ。」

まりな:「この巨艦をたったの50人かそこらで運航するんだから仕方ないわ。
所詮、今の人類の技術で恒星間を渡るのは昔の石炭船程度に原始的なのね。」

ゆかり:「はは、装填ミスで難破したら惨めよね。せめて燃料が液体ならなぁ。
まあ、今さらぼやいたって弾体が要らなくなる見込みはないけどね。
とりあえず、こっちのコンベア埋まったわよ。そっちは?。」

まりな:「よし、全部入ったわ。じゃ、クロスチェックね。視覚記録オン。」

ゆかり:「視覚記録オン、1,2,3...うん埋まっているわね。
画像交換して照合ね。回線準備良い?。」

まりな:「両画像重ね合わせ...差異無し。オッケー終わったわ。」

華子4世:「よしよし、ここもきちんと確認取っているわね。
弾体装填は単調な作業だけどしくじったら不発で推進停まるからね。
最後まで初心を忘れずにこの調子を保つのよ。」

ゆかり:「あ、東宮様!。第8融合弾庫装填順調に終わりました。」

華子4世:「そうね。適度に無駄口を叩きながらというゆとりも良いわよ。」

まりな:「うっ...(しまった聞こえていたんだ、ゆかりめっ)」

華子4世:「無闇に緊張していたら40年なんて保たないわ。
そのゆとりは訓練の賜物よ。石炭船の例えも良かったわ。
液体燃料で連続核融合が出来たらもっと遠くに行けるのにね。」

ゆかり:「恐れ入ります。」

まりな:「最後まで気を抜かずに頑張ります。」

華子4世:「でわ。弾庫を閉鎖して退避するまで入念にね。」

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 11/38

(”まつ” 標的設置6箇所目)

かぐや:「これで6箇所目ですね。ここらで標的展開していいですか?。」

亜依羅:「ちょっと待って。うーん。今まで仕掛けたやつをこうこうこうして避けると...
うん、もうちょっと南に行こうか。そこでまとめて3組仕掛けるよ。」

かぐや:「どうせ秒速6000Kmじゃ殆ど直進に近いコースで突き抜けるんですよ。
そんなに凝ったって大して結果は変わらないんじゃありませんか?。」

亜依羅:「いや。お前は1組目の主任操舵員・亜未を知らないからそう思うのよ。
あの娘にはそんな状況でも1000Km以内の精度で経路を決める実力があるんだ。
先に仕掛けた5組を確実に発見してこの線から500Kmの円筒内を通るだろうね。
その先に遅れてまとまった障害が見つかれば、うろたえるところが見れる確率は高い。」

かぐや:「そんなものですかねえ。」

亜依羅:「練習艦はそろそろ条約ライン超えるころだ。核パルス使い出すと速い。
あんまり時間がないんだ。ぐずぐずするな。」

かぐや:「はいはい、仰せの通りに。」

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(北進中の”ぐりーんらんど”)

航法兵・みらい:「地球からの距離11万Km、地球圏デブリ禁止ライン超えました。
現在速度地球に対し秒速10Km/s、太陽に対し33Km/sです。」

洋子:「東宮様戻ってこないわね。とりあえず総員加速対応体制、最大0.66G。
代用気化爆弾、種火原爆用射出機への装填確認、弾数40000。射出待て。」

華子4世:「ごめん、遅くなったわ。身体固定確認、はいお待たせ。」

洋子:「代用気化爆弾射出開始、間隔0.3秒。」

亜未:「補助エンジン停止。格納よし。代用パルス推進始めます。」

みらい:「加速方向問題ありません。まだまだ鈍い加速ですね。」

華子4世:「弾体容積が融合弾の20倍もあって種火用射出機しか使えないからね。
間隔もショックアブソーバー設計値と合わないからゴトゴト振動が気に障るし。」

洋子:「それでもようやくまともに前へ進めるのが嬉しいですよ。
あと暫く我慢すれば核パルスが使えるという期待感もありますし。」

みらい:「軌道への地球重力の影響、検出不能に低下しました。
現在速度太陽に対し秒速129Km/s、方位真北より外周方向に5度です。」

亜未:「代用気化爆弾全弾発射完了。イオン推進再開しますか?。」

洋子:「再開して頂戴。加速対応体制緩和、最大0.03G。」

亜未:「補助推進器ナセル展張、イオン推進全開。」

みらい:「現在の加速を続けると条約ラインまで約120時間です。」

洋子:「条約ラインに達し次第核パルス推進を行う。種原爆および融合弾装填作業開始せよ。」

華子4世:「弾庫の様子を見てきます。」

洋子:「装填訓練は十分やったと思います。100時間あればフル装填できるはずです。
出来ばえを見てやって下さい。」

華子4世:「本番では加速の合間に何度も装填を繰り返さなくてはならないからね。
素早さよりも1発のミスもない確実さが重要だわ。」

洋子:「もちろんです。もし不発が出たら航行が大きく遅れることになりますから。」

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(火星公転軌道 障害物回避訓練空域 標的輸送中の資源収集艦”まつ”)

亜依羅:「1組目の竹籠リングはこの辺に仕掛けることにするわ。曳き出して。」

かぐや:「1号重機曳航始めます。おお、軽い。さすが竹細工だわ。」

亜依羅:「前方10キロで回転を与えてから放しなさい。
遠心力で公転面に対して平行に開くように巧く振り回すのよ。」

かぐや:「極方向からの軌道に対して被弾面積を最大にするわけですね。
ところで、絶対運動は火星の公転と一致で良いんですか?。」

亜依羅:「練習艦が突っ込むまでに多少火星方向に落ちるけど誤差だから構わないわ。」

かぐや:「もう10キロ離れましたがここで良いですね?。」

亜依羅:「いいわよ。回転始めて。そうそう、そんな感じでいいわよ。」

かぐや:「竹籠を繋ぐワイヤーは十分張ってきたようですが。」

亜依羅:「そうね。しっかり拡がったからもう良いわ。帰還しなさい。
まさみ、美佳、2組目を倉庫から格納庫に出してワイヤー繋いで頂戴。
10分ぐらい移動したら2組目を仕掛けるから急いでやってね。」

まさみ:「もう倉庫に向かっています。」

美佳:「竹籠間のワイヤー長はさっきと同じ100mで良いですか?。」

亜依羅:「そうか!、間隔を変えて大きさの違う隕石を演出できる罠。
よし、120メートルに変えておいて頂戴。けけけ、洋子め、驚くぞ。」

かぐや:「1号重機、格納庫に戻りました。」

亜依羅:「よし、次行こうか。まず公転軌道沿いに並べるのが楽だな。
操舵員、南200キロ、西300キロ、公転半径差なしに移動。」

かぐや:「何百キロ間隔に直径1キロの障害なんて当たる可能性あるのかな。」

亜依羅:「衝突したかどうかで評価されるわけではないのよ。
より手前で発見したか、うろたえずに回避方針が立てられたかが重要なんだな。
それから巨大すぎる船体だから無理な力をなるべくかけずに済ませたかもね。
実際の航行で惑星大の障害物に出くわしたらそんなこと言ってられないけどね。
最悪は無理矢理ジャイロで捻って緊急核パルス撃つしかないことだってあるわ。
考える時間が殆ど無い小隕石回避は、どのみち操舵員を信じるしかないのよ。
緊急核パルスのため全員に体制取らせるときが艦長の腕の見せ所ってことね。」

かぐや:「いつそうなるか判らない緊張が40年も続くなんて厳しすぎます。」

亜依羅:「確率的には何も起きなくて当たり前なだけにむしろ油断が怖いわ。」

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

「ケンタウリ」総集編 本文 |

オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (6)練習艦 | 8/38

(地球静止衛星軌道上の練習艦

給水艦隊司令:「推進剤注入作業すべて終わりました。給水艦隊離脱します。」

洋子:「推進剤ゲージ満タン確認。補助推進器原子炉アイドリング異常なし。
各コンテナ気圧異常なし。重水炉コンテナ内放射能レベル正常...任務開始可能です。」

華子4世:「いいわ。初任務にあたり恒例により艦名指定宣言を行います。
恒星間航行艦は地球島嶼民を代表して新たな素体生産地発見を主任務とします。
宙軍命名規則検討委員会は地球の島の名から大きい順に使用するとの答申を行いました。
私・宙軍大臣は本答申に則り本艦を”ぐりーんらんど”と呼称するよう定めます。以上。
ぐりーんらんど暫定艦長、大宙令2000901号練習航行作戦にかかりなさい。」

洋子:「操舵員は配置を完了しているか?。」

亜未:「主任操舵員第1獄門台にて待機中。首インタフェース接続状態良好。」

洋子:「姿勢転換はじめ、目標位置火星真北5AU、補助推進器エンジンナセル展張。
太陽中心より1.381AU到達までは核パルス推進の使用を禁じる。
地球周回軌道離脱後3時間経過まで代用気化爆弾の使用も禁じる。総員加速注意。
但し、当分の間加速度は軽微である。身体固定の要無し。通常業務を継続せよ。」

亜未:「前後バーニア及びジャイロ始動。旋回始めます。最大角速度0.07度毎秒。」

華子4世:「よかった。きしみ音は出ないわね。」

洋子:「ところで条約解釈ですが、太陽から火星近日点距離で本当に宜しいのですね?」

華子4世:「両極方向に離れる場合には火星以遠の定義は明確じゃないわ。
最悪の解釈だと円筒空域内はいくら遠くでもダメって言う暴論もあるけどね。
それでは真南に近い方位にあるアルファケンタウリ<