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ここはSF・オプションパーツ2「ケンタウリ」総集編(一般向け)サイトです。  2008.05.11連載再開に向けてテンプレ修正、エントリをシーン単位に変更。 2008.10.05 連載第8回まで掲載。

ADSL・FTTH徹底比較

オリンピック記念別冊付録2・軌道ドッジボール

このお話もオプションパーツシリーズとは別世界での出来事です。

 ドッジボール入門
 ドッジボール、たいていの人は小学生の時にやったことがあるだろう。
だが、危険もなく誰でもわかりやすい簡単なルールの軽い競技と決めつけるのはいかがなものか。
なんてったって、この時代は先進国なら全身サイボーグが珍しくないのだからサイボーグ選手で構成されたプロリーグが存在するのだ。
誰でもやったことがある競技だけに人気は高く、プロリーグの予算は豊富だ。
その最高峰WWODA・世界女子軌道ドッジボール協会戦は、全身サイボーグ技術を保有する10箇国に所在するチームによる通年リーグ戦である。
競技場は衛星軌道に設置された巨大なケージである。
真空中では普通のボールだと破裂してしまうから質量10キログラムのジュラルミン製金属球を使用する。
無重力の衛星軌道上では玉が落下しないため特別なルールが必要だ。
だから地上で一般人がやるドッジボールは玉をぶつけられたり、捕りに行って落としたら脱落というルールだがプロリーグではノックアウト制である。
ノックアウト制とは要するに決められた限度まで壊れたら退場ということで、ドッジボール本来のシンプルさは保たれている。
WWODAといえどもスポーツであって戦争ではない。
だから「壊れて良い限度」は滅多なことで選手の死につながらない範囲に定められている。
参稼選手は生命維持装置、電源等の生死に関わる部品について脳ケースを除き全て二重化されていなくてはならない。
この二重化義務づけ部品のいずれかにおいて片系故障を来した場合はノックアウト退場となる。
そのほか、衝撃で脳震盪を起こして気を失ったり、バーニア破損や推進剤切れのため2方向以上への加速が出来なくなった場合もノックアウトになる。
小学生のドッジボールなら一方のチームが全滅するまで戦うのだが、プロでは中継の都合から制限時間が定められている。
時間切れの場合は残った選手の全質量が多い側の勝利となる。
つまり推進剤の浪費や破損して部品が欠けることは負けにつながるので、無駄のない戦略が求められる頭脳ゲームだ。
まあ、サイボーグスポーツでは選手の体で自前のものは脳しかないのだからすべからく頭脳ゲームなのだが。
試合開始時の体と装備品を合わせた全質量は120キログラム以内に制限されている。
うち20キログラムは規約で定められた脳ケース保護のための装甲でなければならない。
安全上、脳ケース装甲と生命維持装置等は事前に協会の設計審査を通ったものを使わなければならない。
また胴体と手足2本ずつを有する人型ボディであることが求められている。
このあたりは技術の問題と言うよりも、プロリーグということで人気に配慮したもののようだ。
但し、手足の質量を超えない範囲ならば触手や羽根、角などを装備することも容認されている。
なお、試合前の質量配分違反防止検査が必要なため手足と付加パーツは5分以内に着脱できる構造が義務づけられている。
質量を何に配分するかは上記の制限を除けば選手ないしチームの裁量である。
WWODA:World Wimens Orbital Dodgeball Assosiationは名称上「女子」協会なのだが、そもそも性別不明者が増加した時代のことだし、ましてサイボーグの性別を検証することは難しいから規約上は女子リーグとなっていない。
ただ、現実には制限質量内で少しでも多くの有効なパーツを使用したいとなれば少しでも脳が小さい方が有利であり、選手の大半が生来女性脳の持ち主であろうことが推定される。
しかし、女性脳が素体段階で完全な女性体に収まっていたと限らないのもまた古くからよく知られていることだ。

 名門球団
 わが大東亜ブレイカーズはWWODAの名門たる創設6球団の一つである。
伝統の5−4+1フォーメーションによる一糸乱れぬ時間差攻撃・ジェットストリームアタックによる敵前衛集中破壊戦が身上である。
チームスローガンは「攻撃は最大の防御なり」だ。
軌道ドッジボールは所詮体の壊し合いであり、先に壊した方が勝つ。
壊されることを怖れて逃げ回っているようでは到底先制攻撃なんか出来るわけがない。
WWODAの人材供給元となっている各国木球ドッジボールリーグは地域によってルールが異なる。
幸い我々が立地する大東亜では流血ポイント制が採用されており、たいていの新人は痛めつけられることへの恐怖心が克服済みだ。
今日デビューする新人の律子は、両膝2度ずつの粉砕骨折で両脚義足となってプレーを続け3ヶ月前の死闘で顔面に玉を受けて眼球破裂の傷を負いながらも相手の2名に頭蓋骨陥没のダメージを与えて打ち破ってきたという逸材だ。
もちろん入団テストの最終選考を兼ねた無麻酔開頭でも全く悲鳴を上げず、そのまま脳摘出に進むことが出来ている。
これがプロテクターセンサーによるターゲットヒットポイント制の地域だと骨折すらしたことがない新人まで入ってくるから大変だ。
まず人工関節の2,3個も入るまでは配下のマイナーチームでしごかなければ使えるようにならないためどうしても改造手術時期が高齢化してしまう。
だが今日の対戦相手EECモーニングスターズは毒球リーグ地域のチームだから少々手強い。
毒球リーグだとしびれ薬を塗った玉をぶつけ合い、被弾して毒が回り動けなくなったら脱落というルールになっている。
毒を有効にするため、ロンググローブとブーツ以外は身につけてはならない規則だ。
このため致命部である顔面や胴に当てさせない回避術に長けており、ごついプロテクター無しでの軽快な動きにも慣れている。
弱点は手足で受けようとする癖が染みついているため、ついつい無理な玉を受けて手足を壊しやすいところだ。
律子はどちらかというと頭を壊しに行くタイプだが、融通が利かない猪突猛進型というわけでもない。
きっと通用し、デビュー戦を勝利で飾ってくれるに違いない。
軌道ドッジボール1

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別冊付録 |

オリンピック記念別冊付録・射撃マッチプレイ

このお話はオプションパーツシリーズとは別世界での出来事です。

パラリンピック射撃競技
パラリンピックといえども、やはりオリンピック競技の流れをくむ競技が多いのだが全身機械化部門ではその特殊性から特別な競技が実施されている。
射撃競技はその典型だろう。
当然であるが視覚と身体制御が全て機械化されたサイボーグにおいては、手持ち武器であれ内蔵武器であれ射撃は航空機や艦船の自動火器と同様に百発百中が可能である。
したがってオリンピック競技のごとき標的射撃は全員が満点を取ってしまうため競技として成立しない。
むろん宇宙空間で高速移動しながらの超遠距離射撃でもやれば差は付くだろうが、コストや観客が容易に行けない点で問題がある。
しかしながら射撃競技は何処の国でも軍人や警察官にとって貴重な晴れ舞台であり、サイボーグ部隊を擁する国家はみな参加を求める。
そこで編み出された地上で実施可能な競技がこのマッチプレイ戦であった。
変化に富んだ地形での撃ち合いとなれば状況判断や駆け引きの要素が大きいから生体脳の持つ経験がものを言い競技として成り立つ。
要するにサイボーグ兵同士が互いの体を的に撃ち合う、空手で言えばフルコンタクト戦のごとき競技、というか死合いである。
といっても実際に殺し合ってしまえば、選手のなり手が居なくなるから、いかに死合いとして成り立たせるかのルールが決められる。
そのルールはそれほど複雑なものではない。
競技者については、脳ケースおよび生命維持装置、非常電源の防護装甲は鋼鉄50ミリ相当以上、装備する火器の口径8ミリ以下、弾丸はセラミック弾、身体と装備品を合わせた全備重量400Kg未満だけである。
この重量内であれば飛翔不可能な遠隔操作火器や遠隔人形・デコイを使っても良い。
競技場は砂地または草原で半径1000メートル以上、全面に1メートル以上の起伏か同等の掩体となる建造物が存在すること。
競技場は幅50メートルの地雷原で等分され競技者は互いの陣地や外周緩衝地帯に進入できないこと。
観客席は幅100メートルの緩衝地帯を隔てて厚み200ミリ以上の防弾ガラスで仕切ること。
これだけである。
勝敗は一方が射撃も移動も一切不可能となったKO、規定装甲を覆うように取り付けさせられるバイタルパートセンサーアレイを半分以上破壊されたTKO、または制限時間後に残存する弾薬と身体機能をポイント評価する判定にて決せられる。
競技者の機械化率は規制されていない。
ルール上は規定の装甲で全身を覆えばパワードスーツを着けた生身の兵士が出場しても良いが、制限重量内では丸腰になってしまう。
子供の体格ならあるいは可能かも知れないが、そんな兵士は条約無視のゲリラ民兵にしか居ない。
装甲すべき部分が小さければそれだけ余分な弾薬や動力が使用できるから有力選手はみな全身を機械化している。
それもなるべく生体部分が小さいほど有利である。
とはいえ脳を機械化しすぎれば融通が利かなくなって駆け引きに勝てない。
となれば生来小さめの脳を持つものが優位となる。
そのためか性別を超えた競技でありながら、過去の金メダルは女性に独占されていた。

半脳の女王
次回大会満蒙パラリンピックの日本代表・野原美智子は「半脳の女王」と異名を取る射撃マッチのスペシャリストである。
野原は、現在でこそ防衛省陸軍部少佐・機械化歩兵戦研究部隊7731部隊第一戦隊長と言う高い地位にある。
だがその生い立ちは芳しいものではなかった。
それもパラリンピック選手に多い障害克服の美談などとは無縁の恥ずべき過去を背負っていた。
中学卒業までの野原は何処にでも居そうな軽いノリの娘であった。
当時の野原は射撃女王ならぬコスプレオリンピック女王を目指しており衣装収集に余念がなかった。
野原の親は平凡なサラリーマンであったから小遣いは潤沢でない。
必然的にメイド喫茶のアルバイトで資金稼ぎをすることになる。
だが依然根強いブームが続くとはいえ萌えオタク人口などたかが知れており、メイド喫茶は乱立気味だ。
小顔に恵まれているものの社交的とは言い難い野原は遠征資金まで稼ぐことが出来ない。
ついついダメ元で携帯出会いサイトに「JK1ゆ2」などと書き込みをしてしまうのも致し方ないのかも知れなかった。
しかしこの出来心が大きな不幸を呼び込むことになった。
この時代も依然学力低下からの脱却が叫ばれ、学校は猛烈な学科詰め込み教育に走り、性教育など生物をちゃんと学べば十分とされて隅に追いやられていた。
花粉の作用を知っていても、初めてのウリでしかるべき安全策をとる知恵は身についていなかった。
当然ながら妊娠に気付くのも大きく遅れる。
気付いたとて家族に打ち明けることも出来ぬまま放置してしまう。
かくして運命の日、彼女は陣痛に続く猛烈な偏頭痛に襲われ救急車に乗ることとなった。

切迫早産と子癇による脳内出血、最悪の事態である。
少子高齢化による医療保険財政の逼迫は一時より改善していたものの産科小児科崩壊はかえって進行していた。
人工臓器の進歩により死亡率が著しく低下した結果、完全に生身の人間を扱うことが多い産科小児科のリスクは他の診療科に対し著しく目立つようになり、専攻する医師が極めて少なくなっていたからである。
この時代の妊婦は検診が罰則付きで義務づけられ、ハイリスク妊婦は全国で4箇所だけのバースセンターで合宿出産しなければいけないことになっていた。
妊娠を隠していた野原は当然そんなルールに乗っていないから救急受け入れ交渉は困難を極めた。
結局、ヘリで首都にある中央バースセンターに送られ、帝王切開と開頭手術を同時に受けることになったが搬送に時間がかかりすぎた。
辛うじて胎児は生き延びたものの、野原の脳は左半球と脳幹が完全に機能を停止し右脳からの脳波が無ければ脳死と判定される状態となった。
昔なら自発呼吸無し、瞳孔散大だから脳死判定を待つばかりの状態である。
だが殆どの臓器が機械化可能になった時代の話である。
人工臓器による生命維持は脳幹に依存しないから、脳死判定基準はあくまでも大脳の残存機能が人格維持に足りるかだけだ。
生き残った野原の右脳は単体で人格維持可能と判定され、摘出して応急生命維持装置に収納された。
その後約半年をかけて神経信号の入出力端子出しが進められ取りあえず外部装置依存ながら視聴覚と発声機能が再建された。

意思疎通が可能になった野原を訪れた最初の見舞客は両親でも元胎児でもなく、逮捕状を携えた検事であった。
逮捕容疑は、元胎児に対する傷害と保護責任者遺棄だ。
未受診妊婦の無理な救急要請による医療事故多発に手を焼いた政府は検診義務を怠れば胎児に対する傷害罪と保護責任者遺棄罪が適用されるよう法改正を行っていた。
体の無い野原が逃亡するはずもないから逮捕状執行は形式的なものである。
その場で検事は野原の両親が破産したこと、よって弁護士費用が用意できず国選弁護人が選任されることを告げた。
両親の破産原因は野原の医療費であった。
人工臓器が広く普及した時期の話だから、本来なら全身機械化に至る重体であっても健康保険が適用される。
だが、健康保険は自傷行為には適用されない。
そして野原の妊婦検診義務違反は故意であり、その結果生じた症状は自傷行為にあたるとされたのだ。
さらに検事は野原の罪状が本来なら検察逆送となる事案であるところ、仮に有罪となっても服役できる見込みがないため少年審判にかけられることを告げた。
審判には国選弁護人が出廷し、被疑少年本人は視聴覚装置を電話線につないで審問を受ける段取りであった。
審判の結果、野原は医療少年院に送られることが決まり、野原の右脳は可搬型生命維持装置に移されて送致された。
少年院の矯正教育といっても、体の無い野原はただ視聴覚に教育用ビデオを流したまま放置される日々であった。
そんな退屈な3ヶ月の後、意外な面会者たちが野原を訪ねてきた。

面会者は防衛省陸軍部機械化部隊・素体調査官という肩書きを有する医官と防衛省事務官であった。
素体調査官は医療少年院側と打ち合わせの結果、野原の右脳は人型ボディーの制御が再建可能な状態であるという。
半球しか脳がない野原の視覚は視野の半分が欠けているが防衛省仕様の視覚システムなら画像変換で調整できるとも言う。
つまり、野原の右脳は防衛省機械化兵の素体として適格と言うことらしい。
次いで事務官は健康保険が適用されない野原が人型ボディーを得るには5000万円以上かかること、防衛省に志願すればボディーの他に両親の負債となっている医療費の額が貸与され15年間勤務すれば返済が免除されることを説明した。
さらに身上調査ファイルをめくって、生まれた子供が孤児院に預けられたが両親の破産が取り消されれば特例養子として引き取りが許されるとも言う。
現在のところ本籍地市長の職権で道子と名付けられているが、引き取られれば改名も可能だという。
道子とは道ばた等で生まれ放置された女児にデフォルトで付けられる名だという。
期せずして出来てしまった子ではあるが負い目も感じているし、二度と子供の出来ない野原にとって唯一の子孫だからせめてまともに暮らさせたいと思うのが当然だ。
絶望の淵にあった野原には防衛省の誘いといえども金の蜘蛛の糸であった。
掴まないはずがない。
数日後、国選弁護人が呼ばれ未成年者である野原の後見人として防衛省との契約に立ち会い、契約書の写しを添えて家裁に少年院の退院許可申し立てが行われた。

所沢の秘密施設へ送られた野原はそこで機械化兵の体を得てリハビリ調整後、部隊配属となった。
元はコスプレ女王を目指していた野原だったが、オタクの道は軍事に通ずという諺通りなのか機械化兵として頭角を現すまで長くはかからなかった。
視覚変換システムを使いこなせるようになった野原は演習に取り入れられたマッチプレイ戦で負け知らずとなった。
野原の頭部は左半分が眼球を除き張りぼての飾りであり、正面から対峙したときは実効被弾面積が極度に小さい。
脳の代謝量が少ないため生命維持装置も小型でありバイタルパート装甲重量が平均の65%で済む。
装甲重量が浮いた分を弾薬や四肢の関節防弾に回してもまだ制限重量の15%ほどが余り、身軽に機動が出来る。
戦場を異様な早さで横に移動してあらかじめ散開したデコイを盾にし、対戦相手に的を絞らせない駆け引きにも長けていた。
装備重量に余裕がある野原は通常より1体多い3体のデコイを使うことが多い。
機械化兵は外部装甲装着のため通常スキンヘッドだが、目立ちたがり屋の野原だけは頭部左側の装甲を張りぼてに内蔵してしまい頭の左半分に派手な赤毛を植えている。
当然デコイも同じパンクファッションであり、これが相手をいらつかせてミスを誘うことになる。
デコイにばかり気を遣っていると、代わりに大量の弾薬を持ち込んで正面から激しい叩き合いを仕掛けて来ることもある。
何を仕掛けてくるか解らない作戦の幅広さは、多彩な戦歴を持つ相手と戦う国際試合で安定した成績を残すのに必須の特性だ。

万里の長城
今回の戦場は満漢と蒙古を隔てる万里の長城跡に設営された。
万里の長城というと観光写真でおなじみの立派な施設がよく知られている。
だが、長城の大部分は点在する砦を結ぶ簡素な土塀に過ぎない。
4000年もの間には財政難で維持管理が不十分になった地区もあり、砂に埋もれたり土塀が崩壊して防衛線としての意味をなさなくなっているところもある。
今回の戦場はそんな地点を選んで長城の土塀を再現し、これを挟んで撃ち合う設定である。
土塀で完全に仕切られて互いの陣地を見通せる地点がない。
飛翔装置が禁じられているからジャンプしながら素早く撃つか、土塀をよじ登るか、曲射を仕掛けるしかない。
大砲が使えないので曲射を仕掛けるには弾道をドライブさせる特殊な銃を余分に持たなければならない。
野原は右腕主砲を速射が効くバルカン砲とし、曲射銃を背中に取り付けて牽制に使う作戦を立てた。
デコイ2体に曲射銃を背負わせ両翼から牽制、中央にもう1体狙撃銃を持たせて城壁によじ登る素振りをさせる。
自身は脚の動力を増強し足場が良ければ20メートルのジャンプを可能にしている。
今回は城壁上にしか地雷がないから相手も城壁にとりついて上から撃ってくる可能性はある。
相手本体が城壁の占位を争ってくればジャンプしてバルカンで一気に仕留めることが出来るだろう。

準決勝
1回戦、2回戦とも相手の曲射精度が悪く城壁を巡る争いに至る前に勝負がついてしまった。
割と脳が大きい相手に当たったので野原の曲射は10%ほどがバイタルパート装甲を直撃できたのだ。
おかげでまだ強化されたジャンプ力を誰にも知られてはいない。
だが準決勝の相手は厄介だ。
地元満漢の代表だから地の利がある。
しかも脳が小さい。
満漢は条約に違反して小児を機械化兵に改造している疑いがあった。
だが無戸籍児が多い満漢では年齢をいくらでもごまかせる。
脳の実年齢を直接検査する方法がない以上違反の証拠は出てこない。
しかし、被弾面積だけ小さければ経験不足でも勝てるほど射撃マッチプレイは甘い競技じゃない。
子供なら揺さぶりをかけて混乱させ泣きそうになったところを仕留めればよい。
軽量な相手ならデコイの数は野原と同じかも知れないが、子供の知恵で使いこなせるものではない。


整備兵:「少佐、無線をスキャンした感じだと向こうのデコイは最大4体の可能性もあります。」
野原:「1体多いくらいどうってこと無いわ。それより風向きのチェックお願いね。」
整備兵:「お任せ下さい。入場検査直後、無線封鎖5秒前きっちりに最終データをお届けします。」
野原:「頼んだわ。子供使ったイカサマで地元に金なんて取らせないわよ。」
大会本部:「両者入場検査エリアに。」
野原:「行くわよ。」
半脳の女王・野原美智子少佐


0005 検査エリアを抜けた野原は直ちに曲射デコイを両翼に展開、之字運動を発令。
0020 風上となる左翼デコイよりスモーク弾3個投擲、上空の取材ヘリによる位置情報漏れを遮断。
0030 両翼デコイおよび本体は掩体後方にて匍匐、地表聴音開始、中央デコイ静音にて前進継続。
0050 敵歩行音5体検知、精度0.5メートルにて位置特定。両翼ツーマンセル隊形にて突撃、中央後方1体隠密行動と判断。
0060 両翼より標的1,4に曲射各60発。衝撃音3を検知。
0064 両翼より標的2,5に曲射各60発。衝撃音2を検知。
0065 敵ツーマンセルより応射、右翼デコイ被弾1、異音あるも行動は可能。標的3が本体と推定。
0090 中央デコイ城壁下に到達。城壁面聴音開始。
0095 登攀音検知。位置右翼。右翼デコイ静止、登頂予想地点に対し曲射照準にて待機。
0100 中央デコイ登攀開始。
0110 左翼デコイ城壁下に到達。壁面聴音感無し。登攀開始。
0115 本体城壁下に到達。聴音開始。右翼敵登攀位置精度30センチにて特定。
0120 敵本体前進音検知。
0123 右翼敵登攀完了推定時刻。右翼デコイより曲射90発、衝撃音2。
0127 落下音検知。爆発音のため敵本体を失探。
0130 中央デコイ壁面最上部に到達。聴音しつつ待機。
0133 敵本体移動音検知も方位判定できず。
0140 左翼デコイ壁面最上部に到達。
0141 左翼、中央両デコイ城壁上に進出。
0142 中央デコイ、敵本体直接目視、狙撃も敵移動により命中せず。本体全力跳躍。
0143 敵本体狙撃銃発砲、中央デコイ被弾墜落機能停止。
0144 敵本体狙撃銃発砲、左翼デコイ被弾墜落炎上、本体空中にて敵発砲炎視認、右腕バルカン連射。衝撃音2。
0146 本体再度跳躍、敵両脚破損発煙視認、右腕バルカン連射。衝撃音11。
0148 審判員よりTKO信号。戦闘終了。現在位置にて審判員到着まで待機。
0960 不正改造防止検査に合格。決勝進出確定。

戦闘結果
戦果 敵本体大破。敵デコイ滅失1、中破3。
損害 デコイ滅失2。デコイ中破1。
決勝戦における機材不足の程度は小。

The enemy was eliminated

参考文献
大脳半球切除術
産科医絶滅史(2ch)過去ログ倉庫
20年ぶりメダル撃つ

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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