オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (1)プロローグ | 1/52007-05-17 Thu 09:27
皇紀195年。帝國は執拗な氷隕石投下の継続によって金星可住化、即ち地球外素体生産地の獲得に成功した。
しかし、その成果は必ずしも満足なものではなかった。焦熱地獄を解消した後に現れた新世界は硫酸地獄であった。 そこは、耐酸外装を施したサイボーグにとっては可住惑星だが、素体にとってはあまりにも危険な住処である。 依然として高い気圧、低い酸素濃度、硫酸分と抱き合わせの水資源、遅い自転...。 そして最大のリスクは地球から近すぎることである。 金星は地上の大国にとって手の届かない世界ではない。 ただ、非サイボーグには環境が厳しぎるから手を伸ばさないだけのことである。 地上の巨大民主国家・北米連は相変わらず生活水準の維持という衆愚の我が儘を至上の価値として資源収奪に邁進するばかりであった。 もう一つの地上大国・満漢人民共和国は一人っ子政策、達磨ッ子政策、小惑星戸籍等あらゆる人口抑制策を採りながら、なお膨張する人口に苦しんでいた。 既に月面ではヘリウム3採取拠点が満杯になっており、新たなエネルギー資源の要求とは即ち外惑星開発か戦争の2者択一を意味する。 いや、今も根強いサイボーグへの宗教的否定にとり憑かれた人々にとっては1者択一なのだろうか。 そして大国どうしの戦争は直ちに地球周回軌道がデブリに覆われ本国の支援なしに成り立たない金星素体生産拠点が破綻する事を意味する。 それでもデブリによる往来遮断だけなら少しは望みがあるが、核保有国がやけを起こせば惑星間核攻撃だってありうるのだ。 諸外国よりはいくらかましな帝國の軌道警備戦力も暴発した大国が打ち上げるであろう無数のミサイルには無力である。 金星可住化とは、所詮そんな薄氷の上の成功に過ぎなかった。 過酷な任務に堪え続けた往年の部下達は、櫛の歯が抜けるように一人、また一人と脳血管障害のため現役を去っていった。 好きでもない政務に縛られるが故に、Gに晒される機会の少ない私にはそれすら羨ましいことだった。 特異ミトコンドリアDNAを持つ私の生体脳は、いまだにサイボーグ自律行動限界の基準を超えるIQが残存していた。 ああ、もうこんな時間だ。とうとう呆けたのかしら?。 それでも体内CPUは容赦なく頭の痛い議題が待ち受ける御前会議の刻を告げている。もう勘弁して欲しい。 上級皇族SNS・皇帝朝子10世のブログより Next 2/5 |
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