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ここはSF・オプションパーツ2「ケンタウリ」総集編(一般向け)サイトです。  2008.05.11連載再開に向けてテンプレ修正、エントリをシーン単位に変更。 2009.07.20 連載第9回まで掲載。

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ケンタウリ|(増刊1)皇紀201年の年越し

(南方面軍本隊旗艦”ぱぷあ”艦長・洋子の航宙日誌)

我々のアルファケンタウリに向けた船出は、皇紀200年の区切りに間に合わせるため年末あわただしく行われた。
したがって出航してすぐに正月を迎えることになる。
恒星間航行艦は高速で移動できるスペースコロニーである。
当然そこでは乗員の生活に必要な物資の生産が行われている。
核融合パルスによる連続高加速のため牧畜には著しい制約があるが農業生産は盛んだ。
主力は多層人工棚田による米作である。
帝國本国は太平洋地域にある島国で、かつて大東亜がアジアの盟主妄想に取り憑かれた時代にはその版図となっていた。
米作への固執とそれを基盤とする食文化はそのときの名残とも言われている。
もちろん限られた空間で効率よく炭酸ガスを食料と酸素に転換できる技術的合理性あってのことだ。
正月は年間で食文化の特徴が最もあらわになる時期である。
皇帝より上に何者も居てはならない帝國において宗教は厳しく禁じられている。
季節感が乏しい熱帯、厳格な無宗教という環境では、農村であっても諸外国のような神事的村祭りは存在しない。
だから年末年始の行事といっても皇居遙拝程度で終わりという質素なものだ。
それすら地球を遠く離れ高速移動中の艦上にあっては地球遙拝と同じことになる。
あるいはこの先もっと遠ざかればおおざっぱに北を向くだけだから遙拝しているのが太陽だか北極星だか判らなくなる。
その程度の季節感ではあるが、食文化へのこだわりは別格だ。
なにしろ素体生産地獲得とは異星系に地球の暮らし自体を持ち込むのが任務だから、単なる趣味の問題ではない。
稲作文明にあってはことにへのこだわりは大事だ。
は主食としてだけでなく、菓子類の基本素材として欠かせないものだ。
だから年末の艦内ではどれほど忙しくても昔ながらの方法でつきをやる。
つきをやるときは当然加速を止めなければならない。
その日程をきちんと組むことは年末を迎えた艦長にとって最優先の任務だ。


(第一居住ドラム内・艦長洋子邸)

不知火:「でわ、ここの3日間加速を停止して実施と言うことで宜しゅうございますね。」

洋子:「それでやって下さい。」

不知火:「場所はやはり非番の者全員が集まれる広さとなるとこの艦長庭園しかありません。」

洋子:「もちろんそのつもりです。」

不知火:「それから申し訳ありませんがバニースーツを搭載していなかったことが判明しました。
古来はウサギがつくものとされているのに、今から正式なバニースーツを縫製していては間に合いません。」

洋子:「恒星間航行用ボディは見た目がバニースーツみたいだから全裸でやれば?」

不知火:「それもそうですね。でわ、うさ耳だけ至急製作しましょう。」

洋子:「ところでつき人の人選は決まっているの?。
地上とほぼ同じと言っても思いがけないところで環境の違いが響くこともあるわ。
試しづきも無しにいきなりやったら大失敗するかも。」

不知火:「人選ですが、うさ耳の着脱を考えるとスキンヘッドにヅラの者が好都合です。
出来合いの汎用ヅラを加工してうさ耳を付けておけば後で余計な手間がかかりません。
巡航中になる来年以降はともかく、今年は忙しいからなるべく手間を減らしたいのです。」

洋子:「すると、自動的にハーフスケルトンの2人に絞られるわね。」

不知火:「あやとふみなら、主任務が脳修復実験体なので基本的に暇です。
試しづきさせてよほど筋が悪ければ再考しますが、まずはこの2人で宜しいかと存じます。」


(試しづき@不知火邸)

不知火:「藻前たち2人がうさ耳取り付けやすいからつき人の第一候補なんだわ。
米を炊いてあるから早速試しづきをやって貰うわよ。」

あや:「このトホホな頭のせいってのが引っかかりますがつきは楽しげですね。」

ふみ:「うまく行ったら試食しても良いんですよね。」

不知火:「もちろん良いけど、不味かったら自己責任よ。」

あや:「でわ、早速行ってみます。う〜んよい、あっ、(ズテッ)、痛ったーい。」

ふみ:「あはっ、あやったら今ごろ核ミサイルの事件の後遺症出たんじゃないのw。
じゃ、お先に私が第一撃をば、うーんよいしょ、(ズテッ)きゃっ。」

不知火:「どうしたのよ2人とも。ちょっと貸してみなさい。はこうつくのよ。
えいっ、あ、あれっ、(ズテッ)、あいたた、そんな、そうか、なんたる見落とし。」

あや:「ええ、そういうことで。航宙足じゃ踏ん張りがきかなくて滑るんです。
体内ジャイロでは抑えきれません。脚を地上用に換装しないと無理だと思います。」

不知火:「それはまずいわ。つきは重労働なんだからエネルギー消費が大きいのよ。
地上脚なんか使ったら大量の炭酸ガスが出てドラム内の大気バランスが狂ってしまうわ。」

ふみ:「ドラムの回転を増やして重力を大きくできませんか?。
爪先が多少地面にめり込めば、杵の慣性モーメントに打ち勝てると思いますよ。」

不知火:「よし、艦橋に頼んでみよう。向日葵、手は空いているかしら?。
ちょっと作業の都合で第一居住ドラムの重力を上げて欲しいのよ。」

艦橋から向日葵:「他の作業に支障がないか確認するわ。ふむ、10%なら行けるわね。」

艦内放送:「第一居住ドラム滞在者は重力変動に注意せよ。これより地平面重力を1.1Gに調整する。」

あや:「重力増えましたね。これでジャイロ全開なら踏ん張れると思いますよ。でわ、行ってみます。
う〜よいしょっ、出来た〜!、これなら搗けます。」

ふみ:「ところで私らバニースーツなんか持っていませんが、うさ耳とセットで用意していただけるのですか?」

不知火:「ああ、その事なら任せておきなさい。」


(おの日@洋子邸)

あや:「あ〜あ、任せておけってこういう事か。信じたのがバカだったわ。」

ふみ:「まあでも確かに、恒星間航行用ボディって見た目バニースーツと大差ないわね。
どうせ集まっているのは見飽きた顔ぶればかりだし、どうでも良いわ。」

あや:「それもそうか。ここには身内とか同級生とか誰もいないもんね。
一応役得で特大鏡をくれるって言うし、悪くもないわね。」

洋子:「はいはい皆さん、これから毎年恒例になる艦内つきを始めますよ。
じゃあ、ウサギさんたちお願いね。」

あや:「行きます。せーの。」

ふみ:「よいしょ!。」

もちつけ

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卯年でもないのにとか言う批判も出そうですが、取りあえず宇宙ではつきといえばウサギがやることになっているわけです。
一応出航直後に年末と言うことで時期は本編とつじつまが合っています。
本編次回がなかなか進まないまま年末を迎えてしまい、正月だというのに放置ペナルティ広告が出っぱなしというのも見苦しいので無理矢理臨時増刊を入れたのが真実ですがw。

参考記事

恒星間航行用ボディ初登場の場面
ハーフスケルトン脳見せ化の経緯

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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