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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (1)プロローグ | 3/52007-05-17 Thu 10:50
(地球静止軌道 第七工場衛星・造機本部)
華子4世:「大叔母上、一寸お邪魔するわよ。」 本部長・知子3世:「あらあら、東宮様がわざわざこんな所に。意外と暇なのね。」 華子4世:「暇じゃないですよ。貴女に来て貰ったら恒星間機関の試作が遅れるでしょう。 で、どこまで出来ているのですか?。取りあえず会議では5年後に運行と言っておいたけど。 先日いただいた資料から考えたらそう外れてはいないでしょう?。」 知子3世:「5年後かぁ。もちろん、近い方で良いのよね?。」 華子4世:「ええ。さすがに20.5光年は無理でしょう。」 知子3世:「近い方って言うけど往復可能でとなると難しさは大差ないのよ。 どっちにしたって、根本的問題はプルトニウム爆弾では臨界量が大きすぎることでしょ。 そのために点火位置を相当離さないと衝撃がきつすぎて船体も乗員も保たない訳ね。 爆風をかなり逃がした上に、核物質の過半が爆発に使われないため燃費が悪いわけだ。 で、核融合爆弾なら1発が小さくできるから点火位置を近くできるのね。 おまけに元々核燃料の重量当たり出力エネルギーも大きい。一見良いことづくめだね。 ところが、核融合の点火に必要な高温高圧をどうやって作るかってのが難問なのね。 北米連なんかの核融合炉はこれをレーザーでやるけどプラズマを閉じこめての話でしょ。 爆風出してなんぼの推進用だと全ての燃料ペレットをレーザーで狙い撃てってことね。 ところがアイデアが出た当時はレーザーが普及していなくて肝心なことが抜けてたんだ。 つまり、レーザーってのは光の定在波だから強い戻り光があったら安定しないのよ。 で、爆炎が消えないうちに次を点火するような連射は無理って事なの。 間隔を開けて点火するのでは1発を大きくしないとパワーが出ないからダメなんだな。」 華子4世:「それであの資料の方法になったんですよね。」 知子3世:「そう。1発目をプルトニウム爆弾で点火して順次爆炎に撃ち込む方法。 これの難しさは初弾が遠い位置で点火した後、滑らかに点火位置を寄せることなの。 燃料ペレットの間隔を詰めすぎたら誘爆が早すぎて射出部で自爆してしまうわ。 一方、開けすぎれば爆炎が拡散しすぎた後に届いて不発、プッツンorzなわけ。 つまり、ペレットの発射間隔はあまり自由度が無くて推進力の調整が難しいのよ。 で、1発当たりの燃料の量とかヘリウム3と重水素の混合比とかが微妙なのよ。 ここまで延々とシミューレーションしてきて、ようやく実験という段階よ。 次の問題はエンジン実験の場所ね。自爆の恐れありでは艦で試すわけに行かないわ。 逆に不発だって加速してしまってから陥ったら帰れなくなるでしょ。」 華子4世:「そんな艦には誰だって乗りたくないです。艦長時代いつも考えていました。 加速後に残りの推進用弾頭が不良品ロットで減速不能になったらあぼーんだなって。」 知子3世:「艦が使えないとなると惑星か衛星でやるしかないでしょう。 で、実験にフォボスを使いたいのだけど政治的な問題は無いかしら?。」 華子4世:「条約上は推進用核実験が許される空域ですが、ちと引っかかることもあるか。 最近、火星では外国の連絡船を使って富裕層向けの観光が行われていますよね。 西から昇る月が結構人気なので、自然保護派の耳に入るとうるさいことになるかも。 帝國自体が自然保護大国を標榜してることでもあるし、うまい言い訳が欲しいわ。」 知子3世:「そうか。あ、こういう名目はどうかしら?。観光資源の保護ってこと。 つまりね、フォボスって放っておくといずれ潮汐力で火星に落ちちゃうでしょ。 それで、軌道維持のために推進実験をするって事で。」 華子4世:「なるほど名案ですわ。外国でも似たような例はありますね。 観光名所の滝が崩れるのを遅らせるためにダムで夜は水を止めるとか。 そういうことで、有名な巨大クレーターの景観には十分配慮して実験して下さい。 では、私はもう一つ寄るところがあるので失礼。」 知子3世:「ごきげんよう、東宮様。」 Prev 2/5 ←→ Next 4/5 |
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