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ここはSF・オプションパーツ2「ケンタウリ」総集編(一般向け)サイトです。  2008.05.11連載再開に向けてテンプレ修正、エントリをシーン単位に変更。 2009.07.20 連載第9回まで掲載。

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (7)方面軍編成 | 7/15

宮中晩餐会

朝子10世:「よう集まってくれた。さて今日の宴だが、みなもちろん意図は判っておろう。
とはいえ、いざ本番となればこうして対面で意識あわせをする場も必要だ罠。
長くなるから食前酒片手に聞いてもらいたい。
これもわかり切ったことだが、帝國は構成員の私益積み上げの上に国益が成り立つ政策を採ってきた。
この基本だけは改正憲法においても全く変わっていない。
技術の限界近くまで体の機械化を進めてきた我々であっても所詮大脳は欲の塊だ。
そして私益の最たるものは生物の本能に根ざす子孫繁栄欲だ罠。
恒星間飛行が成功し素体生産地が増えることはその欲望が充足される大きな機会となる。
したがって、この場でその欲を晒し合った上でそれなりに納得できる調整をと言うわけだ。
これまで帝國は青、赤、紫、橙、黄、緑、黒、白の八公家がそれぞれ得意分野を支えてきた。
つまり航宙、神経、臓器、資源、機械、環境、外交、法務の八大重点分野だ。
そして地上における一般経済や防衛、治安、義務教育、厚生は原則としてシビリアンが担ってきた。
シビリアンの真の存在意義は遺伝子のシャッフルと素体の量的充足にある。
即ち、あらゆる素体生産地においてシビリアン社会は必要不可欠なものだ。
さらに、ただ天から与えられたものを食って生きているだけでは家畜化してしまう。
少なくとも見かけ上の経済的自立なしに遺伝子の自律的シャッフルは成り立たない。
だからシビリアンが主体的に運営する分野の比重を相応に保つ必要があったわけだ。
そして我が皇室の実態は各公家が終身徴兵制と準侯爵編入制を介して精選収集した遺伝子の保管庫だ。
つまり生物学的には我が皇室が最も家畜に近い存在ということだ罠。
さてここで将来の問題だ。
分皇室、分公家ともそれぞれ適度な規模というものが必要だ。
あまりにも少人数化すれば権力の相互牽制が効かず家内自治が成り立たなくなる。
しかるに我々が恒星間航行に投入できる資材で乗せられる人員はあまり十分でない。
まあ、シビリアンなら凍結受精卵の形で渡航し豚子宮で現地出生させることも一応可能だ。
ところが艦においては下士官兵のすべき労務が多いから皇族・貴族の枠はやはり相当制限される。
その限られた人数で現地において本国と同じ八つの分公家を置くことは不可能と予測されている。
もちろん現地の資源状況など未知要因が多いから絶対ということではない。
当然、現地の条件が良く十分な人口規模となればそこで分公家構成を見直すことも出来るだろう。
だが少なくとも最初の艦隊に関しては、皇室+四公家の体勢を前提とせざるを得ない。
そして恒星間植民において八大重点分野のうちどの四つが優先するかは明らかだ。
例えば電波観測においてアルファケンタウリに文明の兆候とされる発信は見つかっていない。
となれば、おそらく現地で外交の能力がが必要となる可能性は極めて低いだろう。
また現地出生者が義務教育を終えるまでは全ての成人シビリアンが宙軍サイボーグ兵だ。
とすれば、その時期まではシビリアンの生活も全て軍が配給義務を負うことになる。
したがって民法や商法、社会保障といった民政の体制作りはゆっくりやれば済む。
外国と競合しない異星系でなら人口過剰による惑星環境問題は当分起きないだろう。
また、未体験の環境では機械化率の高い臓器よりも神経に関わる問題が多く生じるだろう。
となれば、植民初期における分公家設置の優先順位は自然に決まってしまう。
この点、異存はないかな?。」

白の公爵・雪絵:「厳選された者だけの集団では犯罪や経済紛争は大変少なくなりますね。
無能な人間が少ないと当然社会保障の必要性も少なくなります。
私どもの活躍すべき場は相応に遺伝子の多様化が進んだ時期に考慮いただければ結構です。」

黒の公爵・外務大臣新月:「異文明との接触があれば意思疎通を試みることは興味深いわ。
でも電波が出ていないなら良くて中世レベルだから最初は問答無用で攻撃されるでしょう。
そうなったらどうしてもそこの惑星そこの土地が必要でない限り遠巻きに様子見が正解です。
どうせ50年100年かかる話になるから私らはそのときに呼んでもらっても良いですよ。」

華子4世:「計画の責任者としては出来るだけ多様な状況に備えたいところです。
したがって、専門の公家が配置できない分野でも一定のスキル保有者は加えたいのです。
私の得意な技術分野で言えば機械の指導者は艦ごとに最低一人ずつ必要だと考えます。
このため集約された4分公家に若干名の他家出身者を編入することにつきご協力願いたい。」

紫の侯爵・千波:「私らは機械系と生物資源系で入れて貰っているので問題ありません。」

橙の公爵・伊予:「うちは資源屋といっても生物系がいまいちですからお陰で助かっています。」

青の公爵・有栖:「正直言って、うちの候補者全員でも20名だから分家として小規模です。
しかもその内3名は艦長候補だから年齢的に向こうでばりばり働くのは厳しいでしょう。
しかし今後も支援資材の生産が続きますから太陽系内だって核パルス艦の運航は増加する一方です。
いずれ他の近隣星系に向けた無人航路標識艦射出の活動でも核パルス艦の運航は増えるでしょう。
人工小脳型の若手自体が100名に欠ける現状ではこれ以上追加候補を出すことも不可能です。
恒星間航行要員なら基本的に航宙士としての能力が高いので全般に当家との相性は良いのです。
他家からの編入はもちろん、航行中に有能なシビリアンを見出して編入することも必要と思います。」

朝子10世:「そういう要望も出るとは思っていたよ。
済まないが、シビリアン兵からの叙爵編入に関しては全く地上と同じにするのは難しいね。
叙爵は通常なら時間がかかっても良いので当面は太陽系離脱後でも勅命案件になる。
また、航行中はシビリアンの新兵補充がないから乱発すれば下働きの者が居なくなって困る。
だから私も、あとを引き受ける東宮でも安易に要望を叶えるのは控えざるを得ない罠。
そのために数少ない準侯爵を公家間で奪い合えば無用のしこりが残る心配もある。
だから公家の専門性と編入者の能力との相性に従い公平に振り分けるルールが必要だね。
その際、航宙適性に関しては有栖の指摘通りに偏りが出てしまうだろう。
だから他家とのイコールフッティングに配慮した補正が必要になる。」

有栖:「やぶ蛇でしたね。」

黄の公爵・菜摘:「でもまあ、有栖公のところが人不足できつくなるのは皆さん承知して居るんです。
うちは機関系でそれなりに候補者も出せているので応分のご協力は出来ると思いますわ。」

赤の公爵・霧:「機械系の人材を必要とするのは艦の運用だけではありません。
航行中は人工臓器やボディ駆動系を在庫で賄うとしても現地では生産を立ち上げる必要があります。
私どもだけで全て引き受けたのではいずれボディが不足して植民地に生首が溢れることになります。
それから航行中は全員がサイボーグだから脳だけ診れればいいのですが現地ではそうも行きません。
宙軍の貴族士官は改造手術動員義務があるから殆どが脳外科限定免許なら持っています。
しかし一般医師免許所持者の比率は当家を除けば1%以下でしょう。
地上での改造手術なら素体の前処理をシビリアンの医師に外注できたからそれで間に合っていたのです。
この比率のまま凍結受精卵からシビリアンを出生させれば産科小児科が医師不足で破綻してしまいます。
周知の通りサイボーグも睡眠を取らずに過重労働すれば鬱病を発症しますからね。
しかも比較的暇な巡航中に艦内で養成しようにもシビリアンの患者が居なければ実習が出来ません。
艦内教育システムとダッチアンドロイドによる実習だけではペーパードクターしか養成できないんです。
人員配置の決定に際しては一般医師免許所持者、特に産科、小児科経験者の配置を考慮して下さい。
また、各公家においても過去の艦内教育で単位取得が済んでいる候補者を実習に出していただきたい。」

華子4世:「私もその問題には気付いていたのだが艦の方にかかり切りで対策が遅れて申し訳ない。
宙軍大臣としての合理的裁量で出来る範囲においては配慮するつもりです。
それから単位既習の候補者数はもう確認してありますが、貴族では15人居ますね。
そのほかにシビリアン出身下士官が2人、計17人については任務として実習に行かせましょう。
これだけの人数に短期間で経験を積ませられる場所は帝大しかありません。
文部大臣、受け入れ体制は出来ますね?。」

文部大臣:「どうしてこの席にシビリアンの私が招かれたのか不思議でしたがそういう事ですか。
承知しました。その人数なら私の権限でやれと言っても無理な命令にならない範囲ですよ。
ただ、短期で確実に済ませるなら指導教官の増員が望ましいです。」

霧:「指導教官なら、うちの有資格者で休暇中の者にアルバイトさせる事が出来ます。
言い出した以上は当家の持ち駒を真っ先に目一杯動員しますよ。」

文部大臣:「それなら安心して引き受けられます。でわ、すぐ学長に連絡をとってきます。」

華子4世:「ご苦労様。用件が済んだら心おきなく宴会を楽しんでいってちょうだい。
これで現地出生シビリアンの一般医療はなんとか確保できそうだけど、まだ気がかりはあります。
霧公の指摘にもあった改造手術における素体前処理の件です。」

霧:「地上でシビリアン医師への外注に依存している素体前処理は2段階あります。
一つ目は素体訓練開始時の旧性不適合者修正ですから、これを省くことは不可能です。
二つ目は改造手術の最初に行う四肢切断です。こちらは省略する手段があります。」

華子4世:「手足が付いたままでBCI訓練がきちんと出来るの?。」

霧:「切断しなくても脊髄神経ブロックをすれば同じ効果が得られます。
当家の者の得意分野ですし、脳外科限定資格でも出来るから手不足はあり得ません。
欠点は最後の脳脊髄一体摘出において素体ハンドリングが重くなる事だけです。」

華子4世:「脳摘出用水中手術水槽のサイズが合わなくなるな。」

霧:「どうせ現地で新築するしかない物だから互換性は考慮する必要がありません。
全般に効率が悪いのは確かですが素体数が充足してきた段階で直せばよいのです。
素体が多くなる時期にはシビリアンの絶対数も多くなって体制が整います。」

華子4世:「素体は15年で揃うがシビリアン医師養成は24年かかる罠。
その差の9年間がきつくなるのではないかな。」

霧:「義務教育の途中で適性のある者を選び早期養成教育を行えば前倒しできます。
さらに素体前処理に特化した資格を設けて教育内容を圧縮すれば4年は詰められます。
残りの5年間は素体教官や素体調査官となる下士官も不足することでしょう。
現地素体養成所の規模に合わせて徴兵の時期や優先順位を調整するのは避けられません。」

華子4世:「例えば旧性不適合素体の徴兵年齢を繰り下げるわけだね。
遅れるほど性適合が難しくなるから歩留まり低下のおそれもある罠。
星系開発の初期はサイボーグも足りないから苦しいところだがしかたないか。
だが資格の細分化は本国との人事交流に影響するので難しい問題かもね。」

霧:「徴兵年齢繰り下げではなく素体養成所の年限延長ならどうですか?。
個人差を考慮してきめ細かな対処をすれば歩留まり低下はかなり防げるでしょう。
教官の不足は適合済み素体から成績優秀者を選んで補助させれば補えると思います。
人事交流に関しては航行期間を利用した再教育で資格移行を可能にすれば宜しいかと。」

朝子10世:「資格移行となるとまたしても実習がネックになる罠。
生物が居ない惑星をテラフォーミングで開発する場合も考えた方が良い。
地上ですら極のようにウィルスが無い環境では風邪を診る機会が全くないのだ。
感染症全般まで診れるようにゼロから再教育するなんて効率が悪すぎるね。
むしろ本国でも整形、泌尿器、形成の限定制度を取り入れた方が問題解決になるよ。
満漢の政策が100年後も変わらないなら特区に行けば整形の需要は無尽蔵にある。
あの国の歴史を見たら平気で1000年くらい同じ政策を続ける傾向があるしな。
性適合だって周辺国に潜在需要は十分あるから受け入れを増やせばよいのだ。
高々100人かそこらの限定資格者が流入しただけでワークバランスは崩れないさ。
そもそも現状が働き過ぎなのだからむしろ改善になるくらいだね。」

華子4世:「なるほど、技術論ばかり考えすぎでした。
国際経済となるとまだまだ私は陛下の足元にも及びませんね。」

朝子10世:「お世辞で当分働かせようなんて考えるでないぞ。
さて、気難しい話は一巡したようだから前菜を運ばせようかな。
この先は話題も前向きな方に行くはずだから飯がうまくなる頃だ。
ところで招集状返信時の申告と臓器構成が変わっている者は居ないか?。
この忙しい時期に誤食で故障なんて洒落にならないからな。
そう言えば東宮は火星から帰ったばかりのはずだが大丈夫なのか?。」

華子4世:「そこの控え室でボディを宴会用にすげ替えて来ましたよ。」

朝子10世:「そうか。やはり人工小脳型は有利だねぇ。
その点今の若い世代はうらやましいよ。」

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