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ここはSF・オプションパーツ2「ケンタウリ」総集編(一般向け)サイトです。  2008.05.11連載再開に向けてテンプレ修正、エントリをシーン単位に変更。 2009.07.20 連載第9回まで掲載。

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オプションパーツシリーズ未来編「ケンタウリ」 | (7)方面軍編成 | 9/15

宮中晩餐会中盤)

華子4世:「このあたりで方面軍編成の方向性について意見交換しておきましょうか。」

有栖:「なるほど、太陽系を離れたら指揮を独立させるしかないですよね。
ということは、恒星間航行艦隊の司令長官がそのまま方面軍司令官ということですよね。」

華子4世:「最も単純な形はその通りだけど、もう少し将来を見据えた形にしたいと思っています。
恒星間植民の可能性は本来アルファケンタウリに限定されません。
アルファケンタウリに到達できても資源状態が芳しくなければ他を当たる必要も生じます。
すぐに恒星間航行艦隊を出せるのは1カ所ですが、余所についての準備事業もいずれ行うことになります。
したがって、方面軍の編成は可能性のある各近隣星系についてもやっておくべきだと考えています。
今回のケンタウリプロジェクトでも無人航路標識艦の事前投入がもっと早期ならリスクを低くできたのです。
アルファケンタウリなら現在の技術でどうにか往復飛行可能だから植民不能となるリスクを容認しました。
金星の可住化は時間がかかりすぎて地球の資源状態悪化に間に合いそうもないと判断したからでもあります。
また火星の重力が足りないため人工手段を尽くしても素体生産地にするのは難しいという点も判断材料でした。
しかし、もっと遠方の星系に手を出す場合は引き返せないから今度のような見切り発車は出来ません。
そこで、各星系を担当する方面軍も同時に編成し事前航路確認作業にあたる体制を考えています。」

菜摘:「そのような体制を組んでも使用できる艦が無ければ実働は無理ですね。」

華子4世:「植民可能なら将来アルファケンタウリへの後続補給艦隊を送る義務が生じます。
その判断時期は早くても艦隊がかなり接近してから、遅ければ到達後になります。
45年先ぐらいになると想定して空白期間も恒星間航行艦建造技術を維持すべきです。
少なくとも1〜2年に1隻のペースで建造していなければ技術が風化してしまいます。
もちろんその時期まで基礎実験を続けて一気にもっと高性能の艦を造るというやり方もあります。
しかし実用技術というのは部品での実験だけでなく運用ノウハウの積み重ねも必要でしょう。
アルファケンタウリに向かう艦隊から通信で報告を得られるとはいえ、直接持ち帰るのとは違います。
そこで技術維持のために建造される恒星間航行艦を各方面軍に配備し航路確認に使いたいと考えています。
この用途に合わせてそのまま無人航路標識艦として放出できる形式の中間コンテナも開発するつもりです。
目的星系までの距離に応じて1〜2年間の加速飛行の後で放出して帰還する運用になるでしょう。」

霧:「艦内環境における寿命延伸技術の成果確認のためにも4〜8年で戻る飛行は望ましいですね。
行ったきりの艦隊だと地上の大がかりな施設でしか行えない検査は入れられません。
また、新しい方法が見つかっても艦内の資材で実行できなければ採用してみることが不可能です。
グリーゼ581辺りを目指すなら寿命が200歳は欲しいので、今の方法では到底無理でしょう。
単に脳細胞の量的補充が出来るだけでなく、必要な箇所を狙って修復する制御技術が必要です。
神経の再生は感覚器官からの入力に影響を受け続けるから実環境でしか検証できません。
地上で200年生きられても艦上で同じ結果になると言う保証は無いのです。」

有栖:「資材は頑張ればなんとかなりそうですが、人的資源はいずれ不足しそうですね。」

華子4世:「アルファケンタウリ方面軍の発進後は各公家とも欠員がかなり出ます。
主幹の4公家は特に欠員が多くなるから、他方面軍は残りの公家に頑張ってもらう機会でもあります。
欠員補充については当面生殖バンクの稼働ペースを高めにするしかないでしょう。
貴族は申請出産が少ないと判断されれば勅命出産で穴埋めする場合も増えると考えて下さい。
配下のシビリアン下士官についても申請を増やすよう働きかけて下さい。
一般シビリアンについては、今でも目一杯なので別の手段を考えなくてはなりません。
手段の一つは経済特区住民からの転入を円滑化することです。
従来は生命維持装置の機密保護を優先するために転入者選別基準がむやみに厳しくなっていました。
最近の海外技術情報によれば、一部の国は予算さえ付けば全身サイボーグが作れる状態です。
特に無資源国の大東亜など現場はやる気満々なので、政治の風向き次第で一気に動きそうです。
実際に地方の畜産研究施設などにおける動物を使った実験では我々と遜色ない技術があります。
屠殺する豚の首を先に切断して生かしておく実験では5年生存率99%を達成しています。
生命維持装置のバックアップシステム無しでのデータだから1%は差し替え時の死亡でしょう。
豚は我々もよく利用しているとおり人間との内蔵互換性が高い動物です。
つまり、大東亜では人間用の獄門台が既に実現しているのと同じことだと見なすべきです。
あの国だけならば全身サイボーグが出来ても主な用途は海底作業員ですから我々と競合しません。
しかし、あそこが先にやってしまうと、北米連や満漢も内情より対外的メンツで走り出すでしょう。
特に満漢は人権を認めないから首脳部がやると決めたらその日から全国民が素体になるのです。
北米連だって以前のように一部の過激な団体が先走れば政府はわざわざ止めないでしょう。
技術力では無脊髄型で我々に先行したときもあり、人工小脳型開発時に参考としたほどです。
つまり、今後は生命維持装置の機密を保持する意味が薄れていくわけです。
ならばサイボーグの人数で優位を保つために特区からの転入者選別を緩和しても良いわけです。
もう一つの手段は特定友好国において素体適性の高そうな人間を一本釣りすることです。
いずれについても裏切りそうな人は困るが少々口が軽いのは構わないということになります。」

新月:「と軽く仰いますが、具体的手口は私どもが考えることになりそうですね。
月並みかも知れませんが、現地で私立学校を経営して初等教育段階から見るのが良いでしょう。
その段階からなら、思想面で影響を与えて帝國への転入を希望するように仕向けられます。
特定友好国ならば設置認可も取りやすいし、素体調査官を教員に紛れ込ませられますね。
但し、友好にひびが入らないよう、あちらでそのまま活躍する人も育てないといけません。」

雪絵:「特定友好国は小国ばかりです。満漢が全身機械化を始めたら敵いませんね。」

朝子10世:「数の上ではどうにもならないが付け入る隙はある罠。
満漢は達磨娘隕石鉱夫を目一杯搾取し、ノルマ未達成者に残虐な罰を加えている。
頭に烙印された達磨娘なんか忠誠度はゼロと考えて良い。簡単に裏切る罠。」

華子4世:「火星大工場で水銀取引状況を基準に選別すれば素体に使えそうですね。
自由鉱夫なら能力はそれなりだし、どこへ転職しようが満漢政府は文句を言いません。
一旦常用労働者として採用し、皇民教育を施せば問題は無いでしょう。
しかし、達磨娘でなく全身機械化が来るようになるとそんな自由は無くなりますね。」

朝子10世:「我々ですら心神喪失リスクに備えて安全装置を付けているのだからね。
端っから人権を認めない満漢が付けないはずがないし自由鉱夫制度も適用しない罠。
それに、一度海外の術式で全身機械化した者を帝國仕様に再改造できるとは限らない。
神経接続点の設計思想が違ってこちらでは残す神経が切除されていたらお手上げだ。
有脊髄型から人工小脳型へ再改造ならかなり融通が利くが、視聴嗅味覚は直結だしね。
それに、満漢だと恒久生命維持を考えずに1年ぐらいで使い捨ての仕様もありうるな。
素体が有り余っていれば、死んだら脳を捨てボディを再利用することで手が抜けるよ。
もちろんそんな運用では経験が蓄積できずろくな仕事は出来ないが鉱夫ならあり得る。
例えば血糖調整がいい加減で脳内血管がぼろぼろだったら再生は相当難しい。
あるいは造血機能無しで代用ガス交換剤なんか使っていたら重い後遺症もある。」

霧:「使い捨てから恒久生命維持への改造は確かに大変ですね。
その代わり成功した場合の忠誠度は非常に高くなるから、やりがいはありますよ。
廃脳再利用だと供給元との摩擦が起きない点では大変魅力的です。
劣化した脳血管内面の状態改善法は長寿命化にも通じるのでどうせ優先テーマです。」

華子4世:「とにかくあらゆる手を使って素体を増やすことですね。
海外からの調達増となると外交工作や転入者の検査が忙しくなる。
シビリアンの定数を増加させるなら本国の環境維持や食料増産にも投資が必要です。」

雪絵:「特区住民と上陸者の言動監視システムならば配備状況そのものは万全です。
自治政府も背後に我々が居るから繁栄を謳歌できるということを承知しています。
したがって、道路および公共交通の施設更新における設置漏れは一切なくなっています。
現在、全ての街路において通行人の言動捕捉率75%を達成しています。
入管における網膜パタン、指紋の登録も完全に実施できています。
したがって、入国者が何処に行こうが個人を同定し言動を特定できる状態です。
困るのは重点対象者の継続監視にあたる人手の不足です。
機械フィルタリングの後追い検査をする一般監視と違って24時間1:1ですから。
以前は外国工作員らしき者と帝國本体転入候補者を合わせても高々30人でした。
サイボーグなら視聴覚直結と覚醒パルスを使えば監視作業に連続集中ができます。
ですが最近は転入候補増加に備えてシビリアン監視官を入れざるを得ません。
ディスプレイとスピーカーによるインタフェースではやはり集中度が劣ります。
また、シビリアンは食事やトイレによる中断があるため常時2人付ける必要があります。
このため、特に本体転入審査については要監視期間が伸びる傾向があります。」

華子4世:「何か効率を上げる方策を考えないと監視官を増やしても追いつかないわね。」

霧:「シビリアンの脳に視聴覚トランスポンダを付けることは技術的に問題ありません。
そもそも素体の改造過程では同じことをやっていますからね。
但し、元々素体徴兵検査に落ちた人が対象だからサイボーグと同じ集中力は無理です。
利点は殆ど視覚インタフェースの立体化による監視力向上のみと考えられます。
また、食事やトイレによる中断を避けるのは不可能でしょう。
いくら何でも監視官に点滴チューブとおむつを着けて働けとは言えないでしょう。
おむつが濡れたらかえって集中力が低下するおそれだってあります。」

朝子10世:「試しに10人ほどトランスポンダを付けてみようか。
おむつは無理だろうが、監視力だけでも改善すればいくらか効率が良くなるかも。
転入者の要監視期間を本則通り6ヶ月以内に維持できるならやる意味はあるな。
審査の遅れで特区住民が転入を歓迎されていないと誤解するのは是非回避したい。」

雪絵:「開頭手術が必要だから休暇と特別手当が要りますね。」

霧:「視聴覚だけならPETで監視しながらマイクロボディを使えば小開頭で出来ます。
かつら不使用なら休暇5日と基本給の0.2ヶ月程度で済ませられると思いますよ。」

雪絵:「その程度なら超勤費より安いぐらいだから問題ありません。」

有栖:「長期的に素体供給が20%増になるなら4方面くらいは探査できそうですね。
その線で行くとしたら東宮様は具体的な方面軍の構成をどうされるおつもりか伺いたい。」

華子4世:「このファイルを見て頂きたい。
この先20年から50年で出来そうなエンジン改良と寿命延長による到達可能圏は20光年程度でしょう。
その範囲で地球型惑星の存在が窺われる星系は3箇所ある。グリーゼ581は真っ先に候補となります。
c惑星は母性の特性からハビタブルゾーン説が怪しいとしても地球型であることはほぼ確定しています。
重力が十分大きいから火星程度の寒冷さならドーム都市で素体生産が可能でしょう。
但し距離が遠いのがネックですから、できればもう少し近場の候補も欲しいのです。
次にεエリダニ、ここはカイパーベルト相当の塵円盤が観測されています。
なおかつかなり歪んだ楕円軌道ながら木星型惑星が確認されています。
地球型惑星の存在は不明だけど塵円盤の量や形状から確率は高いでしょう。
仮に可住惑星が無くとも塵円盤からの資源収集が出来るから艦隊用の物資に困りません。
なにより太陽系からの距離が10.5光年と近いから早期に到達可能圏となります。
それからτセチ、ここもカイパーベルト相当の天体群が観測されています。
しかもその量が太陽系の10倍もあって矮惑星資源は豊富と考えられるでしょう。
木星型惑星が無いといわれるので惑星があっても隕石災害が酷いとする説はある。
だが隕石災害の頻度は地質学的時間スケールでの話ですから対策は採れます。
我々なら捕獲して衛星化し、むしろ資源として使えるケースが多いでしょう。
惑星系が形成されなかったため塵円盤が多いとしても、物質さえ多ければ人工惑星形成もいずれ可能でしょう。
距離は11.9光年だから寿命延伸が150年になれば到達可能な距離でもあります。
いずれも数年以内に無人航路標識艦を向かわせて観測精度を上げておく価値があると思います。
当面考えているのはこれらとつまりアルファケンタウリの4方面です。
以外の3方面は赤道沿いなので星座名で識別することにします。」

有栖:「各方面に責任公家を割り当てるとしたら1つ余りますね。
距離が近く大星系でもあるシリウスの調査は考えられませんか?。
伴星の超新星爆発で荒廃しているとしても、それがため核物質が豊富な可能性があるのでは?。」

華子4世:「今後も我々の動きを大国が快く思わないことは間違いないでしょう。
外交諜報分野はかなり負担が重くなるので黒の公家は地球担当で頑張ってもらいたいのです。
超新星爆発でカイパーベルト自体が吹き飛ばされている可能性もあります。
その場合は全く資源が無くて艦隊の補給が出来ないことになります。
それで素体生産地候補を優先しシリウスやプロキオンは除外しました。」

新月:「異星文明との接触については何処まで考慮しましょうか。
難しい研究になるので真剣にやるなら外国から人材を引っ張らないと厳しいです。」

朝子10世:「地球の歴史から類推すれば最初から平和的な接触を期待するのは甘い罠。
したがって、万一に備えた行動計画は持っておかないと危ない。
電波天文台の観測によれば文明に由来する電波は見つかっていない。
だが、高度な文明において電気工学が必ず存在するという根拠は何もない。
異生物なら全く異なる発想で文明を築くかも知れない。
良い熱源さえあれば蒸気機関で文明を支えるのは難しくない。
地球でも火薬の発明は電気よりはるかに古い時代だった。
洗練された火薬製造技術があればロケットは作れる。
宇宙に出てしまえばバーニアは蒸気噴射でも十分だ。
核爆弾だってガンバレル式ウラン爆弾なら電気を使わずに実現できる。
爆縮が必要なのはウラン資源が希少だからで、異星系でも条件が同じとは限らない。
核熱源による蒸気機関と核パルス推進だけで恒星間飛行が出来ないわけではない。
それに我々の文明においてさえ電気工学の歴史は機械や化学より遥かに浅いのだ。
数十年前に電気工学が興った星系なら電波が届いていないだけかも知れない。
あるいは用心深い種族で、宇宙への電波放射を規制していることもあり得る。」

菜摘:「電気無しでサイボーグの神経接続は難しいと思いますが。」

朝子10世:「サイボーグ化は宇宙飛行に必須の技術ではない罠。
亀や甲虫のように強靱なら生身でも短時間の真空や高加速に耐えられる。
ミドリムシのように光合成能力があれば食料や排泄の負担は軽い。
鳥や昆虫のように飛翔生物なら機械に頼らずとも飛行を制御できよう。
サイボーグ化しなければ恒星間飛行が難しいのは我々だけかも知れないね。」

新月:「つまり我々の恒星間飛行とすれ違いに侵攻してくる可能性も考えるのですね。」

朝子10世:「そのためにも可住惑星の存在しうる近隣星系を監視することは必要だ。
その優先順位は当然に素体生産地を捜索すべき候補星系と一致する。
したがって、東宮が示した方面軍編成は現時点で妥当だと思うね。
そして各方面への無人航路標識艦放出に際しては人工物の兆候監視も任務の一つだよ。」

有栖:「よしんば向かってくる宇宙艦を発見したとしても迎撃は難しいでしょう。
それぞれが光速の13%で飛行中なら相対速度はその二倍の26%ですよ。
核ミサイルを撃っても至近弾に出来る可能性は殆どゼロです。
エキシマビーム砲だって有効距離に入る時間が短すぎて照準が出来ないでしょう。」

華子4世:「互いにまっすぐ相手の星系に向かう状況ならその通りでしょう。
でも無人航路標識艦の放出任務中なら折り返すから速度を合わせられることもあるわ。」

有栖:「相対静止状態なら逆に回避不能ですから先に撃った方の勝ちですね。
とにかく早期発見しかないなぁ。」

新月:「ちょっと待って下さい。いきなり攻撃では交渉のしようがありません。」

華子4世:「そこが悩ましいところです。接触を試みるとき撃たれるかも知れない。」

菜摘:「早く見つければ、偵察艦を先行させて様子を見ることも可能でしょう。
撃たれずに10000キロくらいまで近寄れれば小型艇を出しても良い。」

華子4世:「小型艇にリモートボディを乗せれば安全な接触が図れるかもね。
でもその前に恒星間航行艦が1隻やられたら30人は犠牲が出るわね。
素体供出率と人工小脳型に改造できる割合を考えたら30人造るのに何人の臣民が必要やら。
補充を考えたら頭が痛くなるわ。地球の有り余る人口が自由に使えたらいいのに。」

雪絵:「東宮様、滅多なことを仰いますな。世界征服なんか不可能でしょう。
それに必要なのは自立した航宙士であって奴隷では役に立たないのですよ。」

華子4世:「おっと失言。解ってはいるけど宙軍大臣としては素体不足がねぇ。」

新月:「素体はともかく、総合的な人材確保なら方法はあるでしょう。
我々貴族が出資すれば特区での私立大学設立はすぐにできますね。
帝國の保有する技術情報を小出しに使えばレベルは十分保てます。
特区の企業は貴族資本が多いから産業振興を通じて採算をとるのも難しくない。
学生なら能力や思想を把握しやすいから帝國転入希望者の選別も容易です。
義務教育段階からのきめ細かい対策が望ましい素体は多く採れないかも知れません。
しかし異文明対策の研究や各種技術開発の要員確保には有効でしょう。
思想的に転入させられない者でも特区で委託研究や資材生産に従事させられます。
そこで人材を補えば私どもは海外工作に自前の人手を集中できますね。」

華子4世:「なるほど。その辺りは新月公に任せましょうか。
ところで、各公家で担当したい方面軍の希望はありますか?」

千波:「臓器屋としてはあるていど早期に飛行可能な方面が良いですね。
脳の寿命延伸がそこそこ進んだ場合、臓器系の長期耐用性が次の障壁になるでしょう。
特に現在のところ完全機械化が出来ていない要素での新技術検証がポイントです。
艦内牧畜が将来も不可能とすれば豚による生体部品補充の代替技術を検証しなければなりません。
実証の機会が一番早いεエリダニを担当したいですね。」

緑の公爵・果穂:「環境という面からは地球型の存在が確定した星系が良いですね。」

華子4世:「白の公家はどうですか?。」

雪絵:「うちはそういう専門性が薄いので何処でも結構です。
但し、技術要員に関して皆さんの助けがないと何処も辛いところですが。」

有栖:「逆に長期航行における艦内風紀保全にはそちらのノウハウが必要です。
そこはお互い様ですから。」

華子4世:「一通り意見を伺ったので次に各方面軍司令官の具体的人事について纏めましょうか。
まず、方面軍に関してですが、太陽系離脱とともに皇帝権限も代行しなければなりません。
したがって離脱以後は憲法の定めによって必ず皇族が司令官を務める義務を負います。
ところが乗員は余命を考慮すると最年長者でも艦長クラスになり将官は居ません。
発進時に各支援部隊の指揮も併せて行うのは荷が重いと思います。
それで、発進から6ヶ月間の本国直接指揮が可能な期間は有栖公に引き受けていただきたい。
その後は搭乗員で最先任の皇族となる洋子に引き継がせます。
他の方面軍では数年間は資材と人を集めるのが任務になるので責任公家の長にやってもらいます。
希望が競合していないので、鯨座を千波公、天秤座を果穂公、エリダヌス座を雪絵公がやって下さい。
条件が整えば3年目からは実働部隊を動かすことになるので現場指揮官に引き継がせます。
その際に引き継ぐ者の候補者を確保し育成しておくことも各公家の責任に含まれます。」

朝子10世:「問題点があったら今のうちに言っておくれ。」

雪絵:「洋子殿下は艦長経験が十分で司令官向きですが、内政経験が少ないですね。
司令官がそのまま植民地の副皇帝を務めるとしたら政務を補佐する方が必要でしょう。」

朝子10世:「うむ、正直言って洋子は無事たどり着くためだけの司令官だよ。
年齢から言っても43年の飛行後に向こうで初心者として政治をやるのは辛いと思う。
脳の調子が良くて現役が続けられるとしても、系内探査を指揮することになるだろうね。
副皇帝の本命は他の者だ。だいたい想像は付くと思うがここで名指しはしない。
しかるべき時期に艦隊内で選挙を行い現地における支持を得て即位するのが決まりだからな。」

雪絵:「なるほど。元老員議員を経験した若手皇族が手厚く配置されていますね。」

朝子10世:「軍務だけやっていては国を支えるシビリアンのことが解らないからね。
私の一存で若いうちに国政を経験させられる手段は他にないから計画的に利用した罠。」

有栖:「事故の可能性を考えると上手く乗艦を分散する必要がありますね。」

華子4世:「私はそういう配置計画なら得意なので任せておいて下さい。
そういう細かい調整にはまだ十分時間があります。今日はとりあえず宴会を楽しみませんか。
ところで文部大臣、シビリアン科学者のトップとして言っておきたいことは無いですか?。」

文部大臣:「うぃ〜、良いな良いな、みんな目指せる星があるんだ。
ひっく、私だって惑星科学者なのに、地べたはいずり回って一生終えるんだ。」

朝子10世:「あらあら、独り蚊帳の外で飲み過ぎちゃったみたいね。」

華子4世:「あははは、(`!`;) すっかり出来上がっちゃっていますね。
でもここにいる者は誰も直接他星系を見る機会が無いんですから、みんな似たような気分でしょう。
私らもアルコールの燃料化率を下げて少し酔った方がストレスが抜けて良いかしらね。」

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